【毎日王冠】ソミュールV さあ初G1
「毎日王冠・G2」(12日、東京)
伝統の一戦で、名手が鮮やかな手綱さばきを見せた。中団を追走した武豊騎乗の8番人気エアソミュールが直線で馬群をさばいて鋭伸。逃げ粘る2着馬をゴール前できっちり首差とらえて重賞2勝目を決めた。次戦に予定するのは優先出走権を獲得した天皇賞・秋(11月2日・東京)。着実にレベルアップを重ね、24戦目にして初めて挑むG1でも輝きを放つ。果敢に飛ばした11番人気の伏兵サンレイレーザーが2着。1番人気のワールドエースは13着に大敗した。
1~4着までが首、首、鼻差となった大激戦。馬群の中団から伸びてきたエアソミュールが、内ラチ沿いを逃げ粘るサンレイレーザーをゴール寸前でとらえた。8番人気の低評価をあざ笑うかのような鮮やかな差し切り勝ち。同レースは98年のサイレンススズカ以来の勝利となった武豊は、会心の騎乗にガッツポーズを決め、思わず満面の笑みをこぼした。
この日は12年12月の金鯱賞(12着)以来のコンビ。「全てが解消されたわけではないが、以前乗った時よりも乗りやすくなっていたね。これだけ折り合ったのは初めて」と成長ぶりに目を細める。
サンレイレーザーが積極的に飛ばす展開のなか、折り合いに専念する形で中団を追走。鞍上のゴーサインに期待通りの伸びで応えた馬も立派だが、計ったように差し切った鞍上の手腕もさすがだ。「僕も春と夏はおとなしくしていたので秋は目立ちたいね」。春のG1戦線では存在感を示すことができなかっただけに、4月の阪神牝馬S(スマートレイアー)以来の重賞Vで当然、満足はできない。
「東京は条件が合っている。ようやく完成に近づいたし、G1にも少しは近づいたかな」と、角居師はエピファネイア、デニムアンドルビーと3頭出しのプランもある天皇賞・秋を見据えた。
5歳秋で10勝目と着実に階段を上ってきたソミュールと、月曜の京都大賞典で歴代トップの騎乗数に到達する武豊。実りの秋を迎え、人馬の存在感が一層、増していきそうだ。