M・デムーロ2度目で夢実現 喜び爆発

 歴史の扉が開かれた。JRAは5日、15年度の騎手免許第2次試験の合格者を発表。ミルコ・デムーロ騎手(36)=イタリア、クリストフ・ルメール騎手(35)=フランス=の2人も見事に難関を突破した。史上初めてJRA所属の外国人騎手となった2人は、3月1日に“デビュー”する。

 日本を愛し、ファンにも愛される陽気なイタリアンが念願のJRA騎手免許を取得した。滞在先の香港で調教騎乗後、朗報を受けたM・デムーロ。「すごくすごくうれしくて、泣きそうなくらい興奮しています」と喜びを爆発させた。

 99年に日本で初騎乗し、その後は何度も短期免許で来日。JRAが14年度の騎手免許試験要項に外国人騎手の受験について明文化した際、即座に反応した。「日本で15年騎乗させていただき、第2の故郷と思うくらいになった。日本の騎手になることが夢だった」。昨年は1次試験で不合格となったが、2度目の受験で夢をかなえた。

 近年は母国イタリアの競馬が経済的に不安定な状況。ただ、それだけが世界トップジョッキーを突き動かしたわけではない。世界最高賞金で知られる11年のドバイワールドカップでは、ヴィクトワールピサで日本馬初Vを達成。東日本大震災発生から15日後に行われた一戦に「日本は明るさを取り戻せるのだろうか?勝っていい話題を届けたい」と決意を持って臨んだ。勝利後は「日本人のために朝から祈っていました。“アイ・ラブ・ジャパン”-この勝利を日本の人たちにささげたい」と右腕の喪章を握りしめながら涙した。

 その後も被災地の福島県相馬地方を訪れ、厳しい状況のなかで伝統の馬事文化「相馬野馬追」を守る人々との交流も行った。また天覧競馬として行われた12年天皇賞・秋をエイシンフラッシュで制覇。ウイニングラン後にメーンスタンド前で下馬し、天皇・皇后両陛下に最敬礼をするなど、日本人よりも日本人の心を持った、情に熱いイタリアンだ。

 「日本競馬のために、そして自身の成功のために、3月からの騎乗でベストを尽くしたい」とあらためて決意表明。輝かしい実績に加え、大和魂を持つイタリア出身のサムライが日本の競馬界をより一層盛り上げていく。

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