ルメールいきなり騎乗停止30日間
外国人騎手として初めてJRA通年免許を取得し、1日の阪神競馬から騎乗開始を予定していたクリストフ・ルメール騎手(35)=栗東・フリー=が30日間の騎乗停止を科せられた。2月28日に同競馬場の調整ルームで携帯電話を使用し、外部との通信を行ったことが判明したためで、騎乗馬は全て乗り代わりに。同じくJRA所属として、いきなり重賞の阪急杯を制したミルコ・デムーロ騎手(36)=栗東・フリー=とは明暗を分ける“デビュー”となった。
本人はもちろん、多くの競馬ファンにとっても“まさか”の事態が発生した。1日からJRA所属騎手となったルメールが、2月28日に、調整ルーム内から外部と通信したとして、1~30日までの騎乗停止を科せられた。この30日間は、JRA裁決委員が下せる有期騎乗停止処分としては最長の厳罰措置。公正確保を脅かす種類の規定違反のため、11R・阪急杯のオリービンなど1日の阪神で騎乗予定だった6鞍は全て乗り代わりとなった。
昨年11月24日の京都競馬で落馬負傷して以来の実戦騎乗を目前に控えていたルメールは、2月28日に阪神競馬場へ姿を現し「頑張ります。(骨折した)足も大丈夫。痛くない」と明るい表情で語ったあと、調整ルームに入室した。だが午後10時10分ごろ、持ち込んだ携帯電話で短文投稿サイト・ツイッターに寄せられた知人からの激励の投稿を2件リツイート。夜半にこれを見つけたJRA職員が採決委員に連絡し、1日午前7時ごろ、同委員がルメールに事情聴取し処分が決まった。
JRAによれば、事情聴取では重ねて謝罪し反省していたと言い「今回は私の不注意で皆さまにご迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした」とのコメントが発表された。
ルメールは昨年9月12日に同アカウントを作成。1日現在のフォロワー数は4400を超える。問題の投稿は既に削除されたが、ネット上に残るログを追跡するとこの投稿はいずれも仏語圏出身のデザイナーによるもの。
「これが君の気持ちを高めるはずだ」との仏語メッセージとともに往年のボクシングチャンピオン、ムハマド・アリの業績を振り返る動画へリンクしたものが1件。もう1件は日本語の「頑張って!!」に続き英語で「日本で迎えるシーズンが良きものになりますように」と記されていた。
今回のルメールの事例のように、ツイッターで調整ルーム内から外部と規則違反の通信が行われ、JRAによる処分が下されたのは過去2例。11年6月に大江原圭、13年6月(処分は7月6日付)に原田敬伍・元騎手(14年4月引退)がそれぞれ調整ルーム内で携帯電話を用いてツイッターを使ったとして、いずれも30日間の騎乗停止となっている。