【桜花賞】ドンキ逃走V 岩田好騎乗
「桜花賞・G1」(12日、阪神)
5番人気のレッツゴードンキが積極策で“桜冠”をもぎ獲った。逃げ切りでの桜花賞Vは85年のエルプス以来、30年ぶり。また、97年のキョウエイマーチ以来となる4馬身差の完勝と、岩田の好騎乗が光った。単勝1・6倍の断然人気を集めたルージュバックは、見せ場なく9着に敗れて初黒星。7番人気クルミナルが2着、8番人気コンテッサトゥーレが3着に食い込み、3連単は23万3390円の高配当となった。
関東馬優勢の下馬評をあっさりと覆し、第75代桜の女王の座に輝いたのは果敢な逃げを打った岩田騎乗のレッツゴードンキだった。
各馬がけん制するなか、意表を突いた逃げで、前半3F通過37秒1という桜花賞史上に残るであろうスローペースに持ち込む。断然人気のルージュバックなど有力馬は4角でもまだ後方集団。馬群でもがくライバルたちを尻目に、上がり3F33秒5の末脚を発揮して、後続に4馬身差をつける歴史的な逃亡劇が完成した。
トライアルのチューリップ賞でハナを切って3着に敗退。戦前に梅田師が描いていたプランは「馬の後ろにつけて脚をためて、直線で隙間を狙ってほしい」というものだった。だが、鞍上は逃げを選択した。「とっさの判断。本当は馬の後ろから行くという気持ちが95%でしたが」と殊勲の名手は苦笑い。それでも「前走でハナに行っていなかったら、この判断はできなかった。あの一戦でスタートでグッと行くのが分かっていましたから」。負けてもただでは転ばない。会心の手綱さばきに表情は緩んだ。
JRA・G1は初勝利となった梅田師だが、昨年のコーフィールドCで豪州G1を勝っている。厩舎にビッグタイトルをもたらした、そのアドマイヤラクティは豪州2戦目のメルボルンC(22着)のレース後に突然倒れて、そのまま天に召された。「勝った瞬間、頭によぎりましたね。これでラクティにもいい報告ができます。あの馬の分まで、(ドンキには)頑張ってほしい」。時折、声を詰まらせながら喜びに浸った。
「牝馬2冠のチャンスがあるのはうちの馬だけですからね」とする一方で、トレーナーは「距離面での不安もあるのでオーナー、ジョッキーと相談します」と次戦はオークス(5月24日・東京)ではなく、NHKマイルC(5月10日・東京)になる可能性も示唆した。いずれにせよ、舞台は府中。さらに長い直線でも、その機動力を発揮して2つ目のタイトルを狙っていく。