【VM】ストレイト悲願V 最高配当も
「ヴィクトリアマイル・G1」(17日、東京)
牝馬の戦いはJRA・G1史上最高配当が飛び出す超大波乱の決着となった。5番人気ストレイトガールが、12番人気ケイアイエレガントをゴール前で一気に差し切り、海外を含めて6度目のG1挑戦で初Vを決めた。3着は大逃げを打った最低18番人気のミナレット。1番人気のヌーヴォレコルトは末脚が不発に終わり6着に完敗。これで今春のG1は、1番人気馬が高松宮記念から6連敗となった。
陣営の熱い思いに応えてストレイトガールが、ついにビッグタイトルを手にした。人気薄の2頭が粘る直線。大観衆のどよめきの中、グイグイと脚を伸ばす。ゴール寸前で2着馬を外から頭差とらえて、悲願のG1制覇を決めた。
レースはミナレットの大逃げで例年より速いペース。戸崎圭は落ち着いて5番手の内でパートナーと流れに乗った。1番人気のヌーヴォレコルトは中団待機策。最低人気馬がスイスイと逃げ、それを追うケイアイエレガントも12番人気の伏兵。騎手としては最も仕掛けどころの難しい展開だった。「人気馬が後ろにいたのでどこで仕掛けようかと考えていましたが、余裕はありました。前の馬はしぶとかったけど、馬の力が助けてくれた」と殊勲の鞍上は満面の笑みで満足感を漂わせた。
レース前、藤原英師は東京競馬場の芝の状態を入念に分析。「内に入らずに、5番ゲートをそのまま生かす競馬をさせようと。ジョッキーとも意見が一致しました」と作戦勝ちだったことを明かす。G1でこれまで3・3・2・3・13着、前走の高松宮記念では1番人気に推されながら惨敗。6歳という年齢面から、限界という二文字も頭をかすめるなかで、手にした勲章だった。「待ちに待って、待ち焦がれました。長かった」。勝てそうで勝てないレースが続いただけに喜びもひとしおだ。
戸崎圭もこの春、桜花賞のルージュバック(9着)、NHKマイルCのグランシルク(5着)と人気馬で結果を出せないレースが続いていた。「歯がゆい思いをして情けないと思っていました」。そのうっぷんを晴らすかのように、京王杯SC(サクラゴスペル)に続く土日重賞ジャックを決めた。
6歳以上牝馬のG1制覇は、グレード制導入後では89年のジャパンCを制したホーリックス以来2度目、日本調教馬として初の快挙となった。「今年が最後だと思っているし、香港からも声が掛かっているのでもう一度挑戦したい」。トレーナーは昨年3着に敗れた12月の香港スプリントでリベンジを果たして有終を飾ることを目標に掲げた。来春の嫁入り前に、まだやり遂げるべき大仕事が残っている。