「ラジオＮＩＫＫＥＩ賞・Ｇ３」（５日、福島）

　トップハンデも何のその。出走権利のあったダービーを回避し、満を持して出走したアンビシャスが１番人気に応えて圧勝。２連勝で重賞初Ｖを決め、秋の大舞台へ弾みをつけた。好騎乗が光ったルメールは短期免許での来日時を含め、今週が初の福島参戦。土日６勝の大活躍を見せた。

　初めて訪れた福島の地。たった２日間で、ルメールは目の肥えた地元ファンのハートを射止めた。アンビシャスにとって、トップハンデ＆小回りコースも関係なかった。終わって見れば３馬身半差の圧勝だ。

　スタートが今ひとつだったために、すぐに作戦を切り替えた。中団のインでロスなく運び、道中は全く動かない。勝負どころの３角過ぎから徐々に進出を開始。４角でわずかにスペースがあいた外へとリードすると、直線では１頭だけ次元の違う脚で突き抜けた。

　ルメールは「もう少し前でと思っていたけど、ペースが速く、結果的にあの位置が良かった。４角でうまく外に出せて、ストロングポイントのすごい瞬発力を発揮しました」と納得の表情。自身も初めて騎乗した福島で土日６勝と大活躍。「面白かった。シーユー、ネクストイヤー（また来年、会いましょう）！」と笑いが止まらなかった。

　音無師は「オーナーが日本ダービーは距離が長いと判断してここへ。ハンデは問題ないと思っていたが、勝てて良かった」と胸をなで下ろし、「きょうは流れも速くて折り合いがついたね。下がってくる馬がいて、どうするのかと思ったけど、そこしかないというコースを通り、完璧に乗ってくれた」と鞍上を絶賛した。

　レース後は、そのまま福島県のノーザンファーム天栄へ放牧へ。トレーナーは「２０００メートルまでは大丈夫。３歳は斤量が軽いから」と話し、今秋は毎日王冠（１０月１１日・東京）から天皇賞・秋（１１月１日・東京）に向かう公算が大きい。みちのく福島のビクトリーロードから、素質馬アンビシャスが大志を抱いて羽ばたいた。