【札幌記念】フィズ射止めるW制覇

 「札幌記念・G2」(23日、札幌)

 函館記念で重賞初Vを飾ったダービーフィズが、勢いに乗って重賞連勝を狙う。デビュー前から素質を高く評価されていた一頭が、5歳夏に本格化。ここを勝てばサマー2000シリーズ制覇も確定する。13日に腹腔内腫瘍で急死した伯父マンハッタンカフェに“弔い星”をささげるか。また僚馬のディサイファもここを目標に好仕上がり。小島太厩舎は精鋭2騎で伝統の一戦を勝ち獲りにいく。

 雨に煙った18日朝の札幌競馬場。そんな空模様とは対照的に、小島太師の表情は明るい。函館記念の覇者ダービーフィズの話題になると「5歳にして完成してきた。条件戦のころから、重賞でもやれるはずだと思っていたからね。自分のところの血統だから、期待も大きかったんだ」と充実ぶりに目を細めた。

 同馬の母マンハッタンフィズは、現役時代に自身が手掛け、13日に急死したマンハッタンカフェの全妹。偉大な伯父にささげる勝利を…と水を向ける報道陣を制するように「それは関係ない。無理にこじつけるのは駄目だよ」と冷静にたしなめた。厩舎の功労馬の死を悲しんでばかりはいられない。勝負師らしく気持ちを切り替え、新たな戦いに臨む。

 前走は着差こそ頭とわずかだったが、自ら動いてねじ伏せる強い内容。「洋芝をこなしてくれたし、うまく乗ってくれた」と評価する。騎乗した岩田は先週のエルムSをジェベルムーサで制し、目下JRA重賞騎乗機会5連勝中。勝てば、98年に武豊が記録した6連勝に並ぶ。乗りに乗っているこの鞍上の手綱も心強い材料となる。

 「マンハッタンカフェもここからだったよな」。伯父は01年に札幌で連勝して飛躍のきっかけをつかみ、同年の菊花賞と有馬記念、翌春の天皇賞を制した。「この血統は奥手。やっとこれで、という感じになってきたし、前走のような競馬ができればここでも」。勝てば、最終戦の新潟記念(9月6日・新潟)を待たずにサマー2000シリーズ制覇が確定。厩舎の看板馬となるべく、北都で新たなタイトルをつかみ獲る。

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