トウショウ牧場閉鎖へ…名門の歴史に幕

 トウショウボーイ、スイープトウショウなどの活躍馬を輩出してきたトウショウ牧場(北海道新ひだか町、1965年開場、名義はトウショウ産業株式会社トウショウ牧場)が、10月いっぱいをメドに閉鎖することが1日、明らかになった。オーナーとしてのトウショウ産業も現役馬、当歳馬の一部を最後に消滅。“トウショウ”の冠名が数年後には消える見込みだ。11年5月に廃業したメジロ牧場に続き、競馬ファンなじみの名門牧場が幕を下ろす。

 名門牧場が、半世紀にわたる歴史に幕を下ろす。数々の活躍馬を輩出してきたトウショウ牧場が、10月いっぱいをメドに閉鎖されることになった。今年生まれた20頭を最後に生産は終了。繁殖牝馬もセールなどを通じて他の牧場に移る予定になっている。

 1965年に藤田正明氏が名字、名前の一部“藤正”から名前をつけて開場。日本競馬を彩った多くの名馬を輩出してきた。初期には76年有馬記念などG1級競走で3勝を挙げ、76年の優駿賞(現在のJRA賞)年度代表馬に輝いたトウショウボーイを輩出。開場翌年にアメリカから導入した基礎牝馬ソシアルバターフライ系の自家繁殖馬を重用してきた“トウショウ血統”の生産馬は、80年代を中心に大活躍を見せた。

 種牡馬としても83年3冠馬ミスターシービー(千明牧場産)、91年の桜花賞を無傷4連勝で制した自家生産のシスタートウショウなどを輩出したトウショウボーイが92年に死亡。その後はやや低迷したものの、00年代には05年の宝塚記念を制したスイープトウショウなどが活躍した。

 38年間牧場に勤める志村吉男場長は「時代の流れもあってオーナーが決断された。競馬場にいつも応援の幕を出してもらうなど熱心なファンには申し訳ない気持ち」と無念の様子で語る。2、3年前には50頭近くいた繁殖牝馬もセールなどで譲渡し現在は28頭に。長引く生産地不況もあり、近年徐々に規模を縮小してきたが、ついに閉鎖の決断に至った。

 けい養中の繁殖牝馬の一部は、10月21日に北海道市場で行われる繁殖馬セールに出されるが、スイープトウショウなどの行き先は未定。また、馬主としても今年の生産馬で終了し、“トウショウ”の冠名、「海老、黄ダイヤモンド、紫袖」の勝負服は当歳馬を最後に消えることになる。

 「(元会長の)北野ミヤさんとも親交があって、メジロさんと切磋琢磨(せっさたくま)してきたんですが…」と志村場長。同じ老舗オーナーブリーダーで、11年に44年の歴史に幕を下ろした“ライバル”のメジロ牧場を追うように、またひとつ名門の灯が消える。

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