梶晃騎手が転身 ジムでダイエット伝授
競馬の騎手は現役を引退してから調教師、助手、厩務員になるケースが多いが、異色の転身を図ろうとしている人物がいる。今年2月に引退した梶晃啓元騎手だ。騎手からスポーツジムのトレーナーへ。競馬の世界から離れて独自の道を進む。「騎手を引退してからいろいろな人と話すようになり、自分が思っている以上に体形や健康の悩みを抱えている人は多いと感じました。ダイエット法はたくさんありますが、自分を含め騎手はシンプルな方法でボディーメークを行っています。それを一般の方に伝えることができるのではと考えました」と転身の理由を語る。
騎手と減量は切っても切れないものだ。競馬のレースには斤量があり、最軽量は48キロ。これは騎手の装備、鞍の重さを含めたもので、騎手自身の体重はさらに軽い。48キロは極端な例だが、レースで51キロという斤量はよく目にする。そうなると騎手は50キロ以下に調整しなければならない。
「騎手に減量はつきものですが、ただ、体重が軽ければいいというものでもありません。500キロ近くある競走馬を自在に操らなければならないため、全身の筋肉を鍛えなければなりません」と説明する。競馬で実際に走るのは競走馬であり、騎手は上に乗っているだけと思われがちだが、そこまで簡単なものではない。前に行きたがる馬を手綱のみで抑えるだけも相当な力を要し、直線では激しく動く馬の上でバランスを取りつつ、ステッキを使いながら馬を追うのは至難の業。強靱(きょうじん)な肉体が必要とされる。
「食事の管理やトレーニングなどをしっかりとやられければ騎手としての肉体を維持するのは難しいと思います。ただ、世間の方が思っているほど、過酷でストイックな生活をしているかと言えば、そこまでではありません」と現役当時を振り返る。
そうなると疑問が生じる。なぜ太らないのか。「それは太らない体質になっているからです。太る、太らない体質は持って生まれたものではなく、トレーニングなどで改善できるものです。騎手はそういう体になっているのです。かといってアスリートだから特別というものではありません。運動経験のない方でもそのような体をつくることはできます」。騎手の経験を生かしつつ、スポーツ医学を理論化した結果、たどり着いた考え。「“ジョッキーメソッド”。おそらく世界初じゃないでしょうか」と笑顔で語ってくれた。
具体的な内容は省略されてもらうが、騎手の体づくりを分析し、一般の方でも理想の体を手にいられる仕組み。減量のエキスパートが推奨するこれまでにはない新しいものになっている。オープンは今月の10月上旬を予定しており、店名は“JOCKEYS SHAPE”(茨城県つくば市二の宮1-13-2 クラモチテナント302、電話029-856-1717、ホームページinfo@jshape.net)。興味のある方は足を運んでみてはどうだろう。(デイリースポーツ・小林正明)