【スプリンターズS】ストレイトW戴冠
「スプリンターズS・G1」(4日、中山)
国内最終戦を鮮やかに勝利で飾った。1番人気に応えて、ストレイトガールが秋のスプリント王決定戦を快勝。今春にはヴィクトリアマイルを制しており、史上7頭目となるJRAスプリント&マイルG1双方制覇を決めた。昨年2着の雪辱を果たした6歳牝馬は、引退レースの香港スプリント・香港G1(12月13日・シャティン)で有終Vを目指す。2着は11番人気のサクラゴスペルで、2番人気のベルカントは13着同着に終わった。
華麗に、そして気高く舞った。国内最終戦。別れを惜しむファンの前で、1番人気のストレイトガールが、ヴィクトリアマイルに続くG1・2勝目を飾った。戸崎圭は「春に千六でG1を勝たせてもらったが、やはり千二でG1を勝ててうれしい」と思わず声を弾ませる。主戦場にしてきた6F戦でつかんだビッグタイトル。史上7頭目のスプリント&マイルG1優勝馬として、歴史に名を刻んだ。
発馬で誤算があった。1歩目で両隣の馬に挟まれる不利。それでも鞍上は慌てなかった。「いい切れ味を持つ馬。しまいは確実に伸びる自信があった」と中団で構える。直線では前が狭くなる場面もあったが、徐々に外へ誘導し前があくのを待った。視界が開けてからは、馬名通り、真っすぐで力強い伸びを披露。「いい脚だった。馬の力で勝たせもらった」。粘るサクラゴスペルを、ゴール前できっちり3/4馬身とらえた。
藤原英師も破顔一笑だ。「本当に馬に感謝。ミラクルな勝利です」と愛馬に最敬礼。昨年2着に敗れた一戦での、リベンジにも成功し、「去年はぶっつけだったけど、その経験も踏まえ、前哨戦から中2週でここ、と決めた。叩いて出来は右肩上がりだったし、絶好調だった」と満足げにうなずいた。以前はテンションが上がりやすく、詰めて使えなかったが、昨年末に香港遠征も経験し、精神面が成長。今回の“必勝ローテ”を可能にした。
ひとつの“夢”もかなえた。今回でJRA・G1・7勝目の師にとって、1番人気の勝利は初。レース直前までベルカントに人気を譲っていたため、気付いたのはレース後の会見中だった。「G1を1番人気で勝つのは開業当初からの目標。まずひとつ達成できたね」。ファンの支持があっての競馬であることは、誰よりも理解している。会見後は、サインを待つファンに歩み寄り、笑顔でペンを走らせた。
次の目標は引退レースとなる香港スプリント制覇だ。正真正銘のラストラン。師は「香港で有終の美を飾りたい」とキッパリと言い切った。昨年3着に敗れた雪辱を果たし、今度は世界の舞台にその名を刻み込む。