【毎日王冠】ヒカリ圧逃V いざ秋盾へ
「毎日王冠・G2」(11日、東京)
盾獲りへの展望を大きく切り開いた。ハナを奪った1番人気のエイシンヒカリが、後続の追撃を完封。前走のエプソムCに続き重賞2勝目を飾り、天皇賞・秋(11月1日・東京)への優先出走権を獲得した。ゴール前で鋭く伸びた4番人気のディサイファが2着で、3着はイスラボニータ。2番人気の3歳馬アンビシャスは、スタートでの出遅れが響いて6着に敗れた。
1年前、アイルランドTを制した時には外ラチ沿いまで大斜行してファンを驚かせた府中の直線で、エイシンヒカリが真っすぐゴールを目指す。坂を上がって右ムチが飛ぶと、グイッと加速。1馬身1/4差の逃げ切り完勝を決めると、武豊は右手を小さく握り締めた。
「今までとはメンバーが違うのでどれだけやれるかと思ったが、スタートが上手なので楽に先手を取れた」と振り返った鞍上は、これが301個目のJRA重賞タイトル。「折り合えたし力をつけています」と、昨年のエアソミュールに続くレース3勝目を喜んだ。
出走全馬が重賞覇者というハイレベル戦を制して、次は天皇賞・秋へ。課題は少なくない。「やはり距離(延長が鍵)。展開もきょうみたいに楽にはならない」。今回は5F通過59秒9の緩いペースに持ち込めたが、盾本番ではマークが厳しくなる。また「レースは真っすぐ走ったが、ゴールを過ぎてから外に逃げようとした。まだ安心できない」と気性は相変わらず激しい。
それでも通算成績を9戦8勝とし、父ディープインパクトにJRA重賞99勝目をプレゼントした快速馬がまだまだ可能性を秘めていることは確かだ。「次につながるいい競馬はできた。胸を張って天皇賞へ行ける成績で、まあ楽しみ」。08年ウオッカ以来、春秋通算12度目の盾獲りを狙う名手の手綱さばきに、大きな注目が集まる。