【JC】パンドラが華麗に差し切りV

 「ジャパンC・G1」(29日、東京)

 今年も“やまとなでしこ”が華麗に舞った。中団追走からゴール前で鮮やかに差し切り、4番人気ショウナンパンドラが国内最高となる1着賞金3億円を獲得。鞍上の池添はオルフェーヴルで制した13年有馬記念以来のG1制覇となった。今後は有馬記念(12月27日・中山)を見据えて調整していく。首差2着はラストインパクトで、ディープインパクト産駒がワンツー。1番人気のラブリーデイは3着、2番人気のゴールドシップは10着に終わった。

 最後の直線半ば。前方に宝塚記念、天皇賞・秋とG1で2戦続けて後じんを拝した宿敵が見える。そのラブリーデイを目掛けて池添が懸命に追い、ショウナンパンドラが四肢を必死に伸ばす。ゴール前の強襲で国内外のG1馬8頭をねじ伏せ、頂点に立った。

 秋盾では不利な外枠を克服することができず4着。悔しい思いをした。そして今回も前走と同じ7枠15番。「競馬の神様に“うまく乗れるのか?”と試されている気がした。同じミスはできないと思った」。自らを鼓舞した鞍上は積極的に中団から運んだ。

 馬群が密集した直線はぶつけられる場面も。それでも根性娘はひるまない。「“届け!”“何とかかわしてくれ!”と一生懸命に追った」。宿敵をかわし、名手ムーアを背に最内から伸びるラストインパクトを首差とらえたところがゴール。国内最高賞金を誇るビッグレースを制した。

 池添にとっては4度目の挑戦でジャパンC初制覇。牡牝3冠馬同士が馬体をぶつけ合う激しいたたき合いとなった12年は、オルフェーヴルでジェンティルドンナの鼻差2着に敗れた。「最高の馬に乗って負けてしまったので。晴らせたという気持ちはないけど、ものすごくうれしい」。目を潤ませながら喜んだ。

 いつもは冷静な高野師も、この日は違った。「声が出た。ゴールしたときは手も足も震えていた。感無量です」。仕上がりの良さには自信があった。「パドックでも、体の使い方、気迫は一番だなと感じていました」と最高の出来に胸を張る。「牡馬相手。JCという勲章をつけてあげられて、責任のひとつを果たせた」とホッとした表情を見せた。

 今後はジャパンCを制した名牝たちと同様に海外遠征も期待される。トレーナーは「選択肢のひとつではある」と明言は避けたが、ディープインパクト産駒の4歳牝馬に託された夢は広がるばかりだ。まず次のターゲットは、国本オーナーが参戦に前向きな有馬記念。年度代表馬の座も視野に入れた新女王が、暮れの大一番へ向けて勢いをさらに加速させていく。

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