【朝日杯FS】スピネル偉業達成へ準備

 「朝日杯FS・G1」(20日、阪神)

 前人未到の大記録達成へ、着々と準備は整いつつある。2戦2勝の良血馬エアスピネルは16日、最終リハで力強い動きを披露。無傷3連勝でのG1制覇に向けて好気配を漂わせた。デビュー戦から手綱を取る武豊にとっては、史上初のJRA平地G1・22レースの完全制覇が懸かる一戦。華麗なエスコートで2歳世代の頂点に輝いてみせる。なお、18日に枠順が確定。馬券は19日に前日発売が行われる。

 日本の競馬史に新たな1ページが加わるか。JRA平地G1の22レース完全制覇が懸かる武豊が、2戦2勝の良血馬エアスピネルで頂点奪取を狙う。「僕の記録は別として、エアスピネルにとっては大きな目標でしたし、来年に向けても大事な一戦なので」と名手は期待を口にした。

 力強い最終リハだった。朝一番の栗東坂路で4F52秒3-37秒8-12秒1を計時。ラスト1Fで軽く促されると、水分を含んで重くなったチップを蹴り上げて加速し、僚馬コウザンアプローチ(2歳未勝利)に0秒2先着を果たした。笹田師は「順調に追い切りを終えられたと思う」と満足げな表情を浮かべる。母は05年秋華賞馬エアメサイア。師が伊藤雄二厩舎の調教助手だった時代に携わっていたとあって、思い入れもひとしおだ。「きょうだいはあまりいい結果を出せなかったが、ようやく母の名を忘れさせない馬が出てきた」と目を細めた。

 母の主戦だった鞍上も期するものがあるに違いない。くしくも、エアメサイアの一周忌となった9月12日に新馬戦を完勝。続くデイリー杯2歳Sは好位で折り合い、仕掛けられると後続を3馬身半突き放して初タイトルを獲得した。「2戦目であれだけのパフォーマンスができる馬はなかなかいない。一流馬特有の背中を感じますね」と能力に舌を巻く。

 JRA・G1は計69勝を数えるユタカだが、朝日杯FSは勝ち鞍に恵まれず、過去15回挑戦して2着3回が最高着順。改めて“グランドスラム王手”について問われると「自分にしかないチャンスだと自覚しているし、ここまで来たら全部勝ちたい」と意欲をのぞかせた。先週は香港Cをエイシンヒカリで制して、自身の流れも最高潮。賢母が残した最強の子で、前人未到の偉業を成し遂げる。

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