【東京新聞杯】レイアー牡馬幻惑V
「東京新聞杯・G3」(7日、東京)
意表を突く逃げを打った紅一点の6歳牝馬スマートレイアーが、まんまと逃げ切り勝ち。2度目の重賞Vを飾った。2馬身差の2着に6番人気のエキストラエンド、3着に11番人気のマイネルアウラート。なお、1番人気のダッシングブレイズは最後の直線で内ラチ沿いに激突して競走中止。鞍上の浜中は府中市内の病院に搬送され、4箇所を骨折する重傷を負った。
恐らく誰もが予測できなかったシナリオだろう。紅一点、5番人気のスマートレイアーがまさかの逃げ戦法。ライバルたちは幻惑され、絵に描いたような逃走劇が決まった。
スタートから気合をつけて出して行き、一気に主導権を奪う。競りかけてくる馬はいない。1000メートル通過が60秒6。マイル重賞ではめったにないスローペースに持ち込んだ時点で勝負はあった。昨年暮れの有馬記念(ゴールドアクター)でG1初制覇。自信をつけた吉田隼の気合勝ちと言えるだろう。
だが、単なる偶然の産物ではない。初コンビの鞍上は3走前(米子S1着)のイメージを焼き付けて臨んだ。「あの時は好位からの抜け出し。ある程度、出して行こうと考えました。まさかハナとは思いませんでしたが。長くいい脚を使うイメージがあったので、直線は力を信じて追いました」と会心の騎乗に胸を張った。
大久保師も「私も逃げは考えていなかった。直線はヒヤヒヤしたが、突き放したのだから力がありますね」と自在性を増した愛馬の姿に目を細めた。今後は阪神牝馬S(4月9日・阪神)をステップに、ヴィクトリアマイル(5月15日・東京)で悲願のG1制覇を目指す。ひと皮むけた芦毛の6歳馬が、牝馬路線を盛り上げる。