菜七子初V絶好機で“女の洗礼”受ける
現役女性騎手最多の587勝を誇る先輩から洗礼を浴びた。JRA史上16年ぶり7人目の女性ジョッキーとなった藤田菜七子騎手(18)=美浦・根本=が15日、高知競馬に参戦。6鞍に騎乗したが、初勝利を挙げることはできなかった。初めて1番人気馬に騎乗した3R・オッズパーク特別(3着)では、別府真衣騎手(28)=高知・別府真=が貫禄のV。先輩の意地を見せつけられた。
強烈なしっぺ返しが待っていた。08年北海道2歳優駿の覇者メトロノースと挑んだ3R・オッズパーク特別。重賞ウイナーにまたがるのが初めてなら、1番人気馬の騎乗も初めて。実力馬と気分良くハナを奪い、Vへの期待が高まった直後だ。3角手前で先輩女性ジョッキーが襲いかかる。別府真衣騎乗のアランルースが早めに仕掛けて外から進出すると、一気に手応えが怪しくなった。結局、早め先頭から押し切った別府騎乗馬がV。悔しい3着で、初勝利のビッグチャンスを逃した。
「中央より全然砂が深い」。競馬場に到着後、馬場を歩いて違いを感じた。ラチ沿いを走る中央に対し、「内をあけて走るのが驚きでした」と振り返る。それでも2Rで実現した初の“アイドルジョッキー対決”はエメラルドビームで3着に入り、別府(9着)に先着。期待を胸に挑んだ3Rだけに、「本当にいい馬に乗せていただいたのに、勝つことができなくて悔しいです」と唇を強くかむ。
6戦して3着(2回)が最高。連に絡むことはできなかったが、師匠の根本師の表情は暗くない。「初めての競馬場、ナイター。どうなるかと思ったけどね。最後の2レースは流れに乗れていた。のみ込みは早い」。川崎~中山~高知と各競馬場を転戦、濃密な2週間を過ごし、着実にスキルアップは果たしている。
「別府騎手はきれいな姿勢で乗りますし、馬も伸びる。あらためてすごい騎手です」と菜七子は瞳を輝かせた。ニュージーランドで活躍するリサ・オールプレスを目標の人物に掲げ、「いずれは日本も騎手、厩務員の女性が増えてほしい」と大きな夢を抱きながら飛び込んだ競馬の世界。待望のプロ初勝利は持ち越されたが、この日の競演はきっと大きな財産になる。