【桜花賞】中舘師2年目で桜冠奪取だ
「桜花賞・G1」(10日、阪神)
桜花賞の出走馬18頭と枠順が7日、確定した。 不思議と縁のなかった桜の舞台を前に、自然と柔和な笑みが漏れる。「牝馬にとっては一番華やかな舞台。男はダービー、女は桜花賞ですよね」。昨年3月に開業した中舘英二調教師(50)=美浦=は、ビービーバーレルと牝馬クラシックの1冠目に挑む。
JRA通算1823勝(うちG1・3勝)を挙げた名手も桜花賞での騎乗経験はない。思い出されるのは94年。前年の阪神3歳牝馬S(現・阪神JF)で後続を5馬身ぶっちぎったヒシアマゾンは、同世代でも実力No.1の評価を得た。だが、当時は外国産馬にクラシック出走権がない時代。「桜花賞に出ていれば人気にはなったと思うけど…」。複雑な感情が言葉を濁す。
あれから22年。調教師として初のG1挑戦が桜花賞なのだから、運命を感じずにはいられない。「(開業)2年目に重賞(フェアリーS)を勝って、桜花賞に出るなんて夢にも思わなかった」と心境を口にする一方、豊富なキャリアからくる余裕が随所からにじみ出る。「よく聞かれるけど、ジョッキー時代の方が緊張した。絶対的な本命馬に乗ることもあったからね」と笑った。
「ビービーバーレルはカイバをよく食べてくれる。新規調教師にはありがたいですよ。いい状態で出走できるのは強み」。期待を胸いっぱいに膨らませ、桜咲き誇る仁川へいざ出陣する。