【宝塚記念】マリア様11年ぶり女王
「宝塚記念・G1」(26日、阪神)
11年ぶり史上3頭目の快挙だ。G1馬6頭がそろった豪華ドリームレースを制したのは、8番人気の牝馬マリアライト。豪快な差し切り勝ちで、G1・2勝目を飾った。1番人気のドゥラメンテは2着に敗れ、ゴール入線後に左前肢ハ行が判明。登録していた凱旋門賞・仏G1(10月2日・シャンティイ)挑戦は断念することになった。3着には、ファン投票1位馬で2番人気のキタサンブラックが逃げ粘った。
鬼気迫る激しさだった。3コーナー過ぎ。外めの10番手にいたマリアライトの背で、蛯名の両手が大きく動いた。全身を揺らしながら懸命に手綱を押すと、一気に先行勢をのみ込んでいく。直線もこん身の右ステッキ連打。ベテランの闘魂注入でさらに勢いを増し、内で逃げ込みをはかるキタサンブラックをとらえる。外から猛追するドゥラメンテを首差で封じたところが歓喜のゴールだった。
「みっともないくらい追ったよ。(マリア)頑張れ、頑張れと思ってね。自分にも頑張れって。北島三郎さんの歌が聴けなくて申し訳ない」。上半期グランプリ初制覇の鞍上は、47歳3カ月8日のレース最年長V記録も更新。お立ち台では少しはにかみながら、7万人を超える大観衆を前に誇らしげに両手を突き上げた。
牝馬の制覇は66年エイトクラウン、05年スイープトウショウに続く11年ぶりの快挙。「2頭しか勝っていないし、その3頭目になれてうれしい。きょうみたいな馬場も上手だね。外枠からうまく流れに乗れたし、思った通りのレースをしてくれた」。稍重の力のいる馬場で、前半5F通過が59秒1のハイペース。究極の消耗戦を制し、歴史に名を刻んだパートナーをたたえた。
久保田師も「使う以上は一発と思っていた。今は誇らしい気持ち」と8番人気の低評価を覆した愛馬をねぎらう。BCターフ・米G1(11月5日・サンタアニタパーク)の優先出走権も得たが、今後については未定。「想像以上の成長力。この勝利で考えることは増えたね」と、うれしい悲鳴を上げた。
蛯名は「このメンバーを負かしたんだから、本当に楽しみ」と今後のさらなる飛躍を約束。進化を続ける5歳牝馬が、新たな勲章を手に、歴史的名牝への階段を駆け上がる。