【凱旋門賞】マカヒキならいける 友道師「これで負けたら仕方がない仕上げを」
「凱旋門賞・仏G1」(10月2日、シャンティイ)
今年は例年のロンシャン競馬場ではなく、シャンティイ競馬場での開催。同競馬場で行われた前哨戦のニエル賞を快勝したダービー馬マカヒキ(牡3歳、栗東・友道)とともに挑むのが、友道康夫調教師(53)=栗東=だ。日本馬唯一の参戦となる今年、世界制覇を目指す現在の心境を聞いた。
-始動戦のニエル賞Vを振り返って。
「思っていた通りの内容で結果もついてきて、前哨戦としては良かった。7、8割の仕上がりだったと思うし、すぐ息も入りました。ただ今回、競馬場についた時は、普段と違ってイレ込んでいました。すぐに落ち着いてくれたので、1回経験したことで変わってくるはず。間隔もあいていたし、次につながると思います」
-シャンティイ競馬場の印象は。
「コースは特殊な形で、日本より路面はしっかりとして水はけはいい。芝は日本より密集していました。当日朝は雨が降っていたけど、そういう(滑る)馬場も含め、馬も人もいろいろと経験できて良かったですね」
-右後肢を落鉄。レース後の馬の様子は。
「(蹄鉄も)きれいに外れて、爪は何ともないです。レース後、月、火曜と馬を見たけど、トモ(後肢)が中から張っている感じで、使ってグッと良くなっているのが分かります」
◆マカヒキの父ディープインパクトも、06年に凱旋門賞に挑戦(3位入線後失格)。馬主はともに金子真人ホールディングスで、オーナーにとっては親子2代の挑戦となる。
-前走後、金子オーナーからどんな話が。
「競馬の後にすぐに息が入って、オーナーも“すごいね!この馬違うね”って。けど、それだけです。特に本番に向け、プレッシャーをかけられることもなかったですよ」
-凱旋門賞挑戦は、オーナーの方から話があったとか。
「ダービーを勝ったあとに電話があって“どうする?”と聞かれたので、“この馬なら行けると思います”と答えました。その中で、行くなら現地の馬場とこの馬を知っているルメールで、という話になりました。ルメールで(当時は)2戦2勝でしたからね」
「正直、デビュー前はクラシックに出さないといけない馬とは思いましたが、僕自身、凱旋門賞なんて(考えは)全然なかった。でも、オーナーが2戦目の若駒Sを勝った後、あの頃は冗談だったとは思うんですが、既に“凱旋門賞に行こう”とおっしゃっていて…。当時は一線級とも走ってなかったので、初めてそういう馬たちとぶつかる弥生賞の時は皐月賞やダービーよりも緊張しました」
-新馬戦→若駒S→弥生賞は父ディープインパクトと同じローテーション。
「当初はプロディガルサン(※1)が弥生賞で、うちの馬はスプリングSかなと思っていたのですが、オーナーから“一番強いところとやろう”と言われて。弥生賞では2歳のNo.1(リオンディーズ)とNo.2(エアスピネル)と走ることに。まず賞金加算を、と思っていた僕とは、そのあたりが違いますよね(笑い)。マカヒキの新馬戦はちょうどG1の日で、オーナーの馬も使っていて(※2)。デビューからずっと現地で見てくれているんですよ」
◆20日に凱旋門賞に向けての1週前追い切りを敢行。前走後の調整も順調そのもの。
-最終リハは27日。なぜ、火曜日に?
「(日本では全休日の)月曜も含めて、フランスではずっと乗れます。火曜なら、しっかりやっても十分にリカバリーの時間が取れますからね」
-意気込みを。
「ポストポンドや他にも強い馬はいますが、前走も目イチではないですから。ダービーの時は順調で、当日は“これで負けたら仕方がない。勝った馬が強い”と思える仕上がりでした。今回もそれに近づいています。あとはレースまでしっかりとやりたいですね」
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(※1)金子オーナーの所有馬。弥生賞は骨膜炎が出たために回避した。
(※2)秋華賞当日。金子オーナーの所有馬テンダリーヴォイス(18着)が出走していた。