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　１号艇の重野哲之が完璧なイン逃げで、ＳＧ初制覇を飾った。予選から見せ続けた段違いの舟脚を、最後の大一番でも披露。コンマ０９のＳから１周１Ｍであっさりと決着をつけてみせた。獲得賞金ランキングも第３位まで浮上。賞金王決定戦初出場へ大きく近づいた。２着は今垣光太郎。道中３番手にいた篠崎元志を最終１Ｍで菊地孝平がさばき、３着に入った。

「父へ恩返しできた」
賞金一部を復興支援として寄付

　優勝戦でも圧倒的な舟脚の差を、まざまざと見せつけた。重野のコンマ０９のＳは発順としては５番目だったが、そこから伸び返して１周１Ｍを楽に先取り。バックに向いたところで、もう勝負をつけてしまった。０６年の福岡全日本選手権以来２度目のＳＧ優出とは思えない、文句なしの勝ちっぷり。「優勝戦が一番の脚。１周２Ｍを回る時には、勝利を確信しました」と納得の表情で振り返った。

　静岡出身の重野だが、東北には縁が深い。父の功児（５７）さんは山形出身。岩手にも親戚が多くいる。「僕の親族の直接的な被災は大したことなかったけど、彼らの友人が亡くなったりして大変な思いもした」というだけに、今開催への思いはひとしおだった。まして、ボート選手となるきっかけをくれたのもその父親。心臓を患い、生死をさまよった約７年前に「俺が生きている間に、ＳＧを勝ってくれ」と言われたことを明かし「恩返しになったかな」と笑顔を見せた。

　優勝賞金３０００万円を含む今節の賞金から、一部を復興支援として寄付することを明言。「このＳＧの優勝者として歴史に名を刻めたことは大変光栄。これからもずっと復興支援は続けていきたい」。未曾有の大災害から立ち直るための勇気と力を、これからも与え続ける。

【重野豪快先マイ】

　Ｓ展示では今垣が前付けに動き１２６３・４５の進入だったが、本番は菊地がピット離れで遅れたため今垣も無理をせず、並びは１２３・５６４。Ｓは長岡を除く５選手がゼロ台と踏み込んだ。

　人気を集めた重野はインからコンマ０９のＳを決めて１Ｍ先マイ。強力脚を武器にした豪快な逃げで早々とＳＧ初Ｖへ安全圏。２着争いはバックで４艇が並ぶ大混戦。２Ｍで今垣が全速ターンを決めて２着を確保。菊地は３周１Ｍで先行する篠崎を逆転して３着に浮上した。