【ボート】笠原、涙のV2「長かった」

 「チャレンジカップ・SG」(29日、芦屋)

 12Rの「SG・チャレンジカップ」優勝戦は1号艇の笠原亮(35)=静岡・84期・A1=がきっちり逃げ切って快勝。05年3月のクラシック以来、10年8カ月ぶり2度目のSG制覇を成し遂げた。2、3着は石野貴之、吉田拡郎。また、11Rの「G2・レディースチャレンジカップ」優勝戦は寺田千恵(46)=岡山・65期・A1=が逃げ切り優勝。「プレミアムG1・クイーンズクライマックス」(28~31日・福岡)の最後の出場権は日高逸子が手にした。

 10年8カ月ぶりの歓喜。笠原はこみ上げてくるものを抑えることができなかった。「(涙は)見せたくなかったけど…。勝てて良かった。長かった」。苦しんできた日々、家族の支え、ファンの激励が頭をよぎっていた。

 1号艇からコンマ16のSで1Mをしっかり先取り、堂々と逃げ切った。「レースは自信を持って行けた」。S展示では大きく遅れたが、本番では不安はなかった。

 05年3月にSG初出場、初優勝の離れ業をやってのけたが、低迷した時期があった。「結果が出ない。ピット離れが出ないのは悔しかった」と振り返る。SG覇者という肩書が余計に重くのしかかる。転機となったのは12年4月に導入された新ペラ制度。「乗りにくいということはない」と調整が合った。これで今年は男女通じて最多のV9、来期の適用勝率が自身最高の8・00となったことも、自信につながっている。

 苦悩を乗り越えて、再び手にした栄冠。「技術もメンタルも上がってきている。これまでは自分が勝って喜ぶだけだったが、今は結果を見て喜んでくれる姿を見て頑張れる」と成長を感じている。10年ぶりのグランプリの舞台。「目標にしていなかったが、こんなところまできた」。10年前は優出して6着。しかし苦難を乗り越えた今の笠原なら頂点奪取も夢ではない。

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