【競輪】19年目の金子が涙の初出場初V
「KEIRINグランプリ2013」(30日、立川)
2013年の頂上決戦は金子貴志(38)=愛知・75期・SS=が涙の初出場初V。デビュー19年目の苦労人が、賞金1億円を手にした。打鐘前から駆けた弟子・深谷知弘の番手を追走。直線では差し脚を伸ばし、先頭でゴール板を駆け抜けた。2着には浅井康太、3着には長塚智広が入った。
弟子の思いとラインの結束が勝利を呼び込んだ。打鐘前から駆ける深谷の番手で金子は追走。後ろには浅井がつく。懸命にもがきながら最後まで脚を伸ばして、頂点の座をつかみ取った。「深谷と浅井のおかげ。バックでは(深谷の走りに)しびれて鳥肌が立った。4角では余裕がなかったけど、3番手に浅井がついていたので、落ち着いて走れた」と2人に感謝した。
最高の1年だった。7月に弥彦の寛仁親王牌でデビュー19年目となるG1初制覇。12月には小倉の競輪祭で2つ目のタイトルを獲得。どちらも深谷とのラインでつかんだもので、初出場となった今年最後の大舞台でも師弟愛が実を結んだ。「本当にうれしいです。あきらめなければ夢がかなうんだな」。ゴール後は号泣していたが、会見では満面の笑みを浮かべながら、勝利の味をかみしめていた。
この日は長男・燎世(りょうせい)さんの12歳の誕生日。競輪場には家族総出で応援に駆けつけた。泉夫人は「最後はまともに見られなかったです」と興奮気味。家族の前で父の雄姿を見せた金子は「いい誕生日プレゼントになったと思います」と胸を張った。
来年は追われる立場となる。「悪くなったと言われないように。競輪界を盛り上げていきたい」。賞金の一部でグッズを製作してファンに還元するプランを描く新王者は、その名に恥じぬよう2014年も駆け抜ける。