フェブラリーステークス |
世界制圧がみえた | 2002/02/17・中山競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
満を持してのスパートだった。「4コーナーで外に出した時、ガツンとくるものを感じたよ」と四位が振り返るほどの手応えで直線に向いたアグネスデジタル。「あとは早仕掛けにならないように」じっくりと我慢。坂の途中で仕掛け、ゴール前できっちり先頭をとらえると1馬身の差をつけてゴール。ドバイWCへの壮行レースを4戦連続G1勝利で飾った瞬間だ。
今週、事あるごとにトゥザヴィクトリーを意識する発言を繰り返した白井師。レース前の指示も「トゥザヴィクトリーを見ていくように」だった。道中は行きたい馬を行かせ6、7番手を追走。「そういう競馬を心がけました。あとは馬を信じて乗っただけです」と四位。期待に応えてのVに「毎回驚く。いつも一生懸命走ってくれるし、ありがとうと言いたい」と、タフな相棒をねぎらった。 この後は3月初めに美浦で検疫に入り、13日にドバイへ向けて出発する。昨年は実際にドバイまで行ってレースを観戦した白井師は、この勝利に「素晴らしい馬が集まった中で底力を見せてくれた。これでドバイでいい競馬ができると思った。土の質があの馬にはすごく合っている」と確信した。 欧米をはじめ世界トップレベルのダートホースがそろい、1着賞金が世界最高の360万ドル(約4億7000万円)という大舞台。これまで6頭の日本調教馬が参戦、昨年のトゥザヴィクトリーの2着が最高だが、ついに“世界王者”も夢ではなくなった。 その後はクイーンエリザベス2世カップ(香港G1・芝二千)に向かい、帰国後の状態が良ければ安田記念(6月2日・東京)に参戦。秋には渡米してブリーダーズカップ・クラシック(米国G1・ダ二千)に参戦のプランも温めている。 世界キャンペーンに出る今年初戦が、自身の通算700勝となった四位は「今年はデジタルといっぱい、いい経験をしていきたいね」と、興奮を隠せない。「一つ一つ不安を消してきた」(白井師)と、トレーナーが与えた課題は完ぺきにクリアしてみせた。これまでの常識に収まらないスケールの持ち主が、いよいよ世界制圧に乗り出す。(小村竜一)
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