高松宮記念 |
湘南の超特急 | 2002/03/24・中京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
韋駄天(いだてん)カンプの有無を言わせぬ逃げ切りを目の当たりにして、年一度のG1を待ちわびた尾張のファンは衝撃を受けたに違いない。G1初挑戦で一気に頂点に上り詰めたシンデレラボーイが、短距離界の世代交代を強烈に印象づけた。
「スピードの絶対値が違うと思っていたし、ゲートが開けば先頭を走ってると思ってた」。パートナーのスピードを信頼し切っていた藤田が振り返ったように、カンプはスタートから抜群のダッシュ力でハナを奪う。前半3F通過は32秒9。前走のオーシャンSで同32秒0の驚異的ラップを刻んだ同馬にとって、さして厳しい流れではなかったようだ。4コーナーでアドマイヤコジーンが背後に迫ったが、藤田の手はまだ動かない。直線に入り、ゴーサインが出されると再び後続を引き離し、結局3馬身半の差をつけてのゴール。まさに“影をも踏ませぬ”ワンマンショーだ。 「あまりに強くて、後ろの足音すら聞こえなかった。このメンバーを相手に完勝なんだから、ホント素晴らしい」。前日の毎日杯に続く土日重賞Vを決めた藤田も、カンプのスピードを誉めちぎる。ゴールの瞬間、両手で高々とガッツポーズをして喜びを爆発させた大久保洋師の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。「馬主さんとは長い付き合いで、なかなかグレードレースを勝てなくてね。責任を感じていたんだよ」。 デビュー時から体質の弱さ、特にソエに悩まされていたカンプは、芝を使い出して負け無しの3連勝。苦手とされていた左回りを克服したことも今後の自信となった。「G1を勝って、さあどうしようってとこだが、少しゆっくりさせて夏場の短距離戦を使うことになるだろう」と大久保洋師。アイビスSD、函館スプリントSあたりが候補となっている。 「これだけのスピードがあれば、短距離では間違いなくトップクラス。これからもドンドン勝ってくれるよ」と藤田のお墨付きももらった。短距離界に突如現れた“湘南超特急カンプ”の快進撃は、まだまだ続きそうだ。(和田 剛) |
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