宝塚記念 |
やっと手に入れた栄冠 | 2002/06/23・阪神競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
3角手前で、レースが動いた。デザーモ騎乗のエアシャカールが先に先頭に並びかける。道中は前のエアをマークするように4番手につけた藤田とフレームのコンビは、前を見ながら添うようにそれについていく。
直線、残り1Fで3番手。エアをかわし、粘るローエングリンをとらにかかる。そこへ切れ者のツルマルボーイが外から襲ってくる。鋭い脚で並ばれて、一瞬、やられたかに見えた。藤田のステッキが、何度も何度もうなりを上げた。勝つんだ、勝つんだ、と叱咤(しった)をするように。鞍下は、ただひたぶるにその熱い檄(げき)にこたえた。 こん身の思いを乗せて、坂の上に向かっていく。意地と、勝負根性と、ひた向きさが結実した。首差、競り勝ったところがゴールだった。「ツルマルが外からきてドキッとしたけど、並ばれてから底力を出してくれた。一つ、勲章を手に入れたのでこれからも活躍してもらわないとね」と、藤田は振り返った。 3歳クラシックから、あと一歩届かないレース続きだった溜飲を下げた山内師は「届かないかと思ったけど、外から馬がきて、また伸びてくれた。いつも一生懸命に走ってくれる馬だね。(ダンツ)シアトルの時よりも、なお一層うれしい」。95年に続く2度目の宝塚記念制覇は、格別の思いだった。 夏は、静内のカタオカステーブルで休養を取り、秋にはまたG1ロードを突っ走る。「短い距離以外ならどんな距離でもこなせる」と藤田。天皇賞、マイルCS、ジャパンC。選択肢が限りない。大願を成就した日本一のオールマイティー。今度は金メダルのコレクションを、ずらりと並べてみせるのか。(岩下昌弘) |
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