スプリンターズステークス |
彼女の力を信じた | 2002/09/29・新潟競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
ギリギリ1頭分あいた最内をこじ開けてビリーヴが伸びてきた。電撃戦のV争いは、直線で後続をちぎった3頭に絞られる。ビリーヴを駆るユタカの視界にあるのは、ショウナンカンプとアドマイヤコジーンの2頭のG1馬だけだった。
「外に出そうか、真ん中を割ろうか」。一瞬のチャンスをうかがうユタカ。コジーンが外に膨らむ。真ん中を割ろう、と決める。だが、その瞬間、コジーンがすぐ進路を修正。空間がなくなる。しかし、同時に最内に細い道が開く。「内があいたんで内に入った。全然ロスはなかった」。瞬時の判断だった。インに突っ込んだビリーヴも鞍上の期待に応える。2頭に並び、交わして初のG1ゴールへ飛び込んだ。 「狭いところだったけど、全然ひるまず入って行った。たいした馬ですよ」。ユタカはビリーヴを称える。才能に恵まれた人馬がかみあってつかんだ記念すべき新潟初G1の勝利。 松元茂師は開業10年目でうれしい平地G1初勝利。インに突っ込んだ瞬間は観念したと言う。「抜けて来れないと思いました。正直言って。まさか内ラチのあそこから抜けてくるとは…。本当に頭が下がります」。今後のビリーヴは、ミニ放牧に出してリフレッシュ。疲れを取った後は、12月15日に香港・シャティン競馬場で行われる国際G1「香港スプリント」(芝1000b)を目標に調整していく。 一方のユタカは今週、また渡仏。凱旋門賞に乗るかどうかはまだ未定だがフランスで騎乗する。そして来週は日本に戻って秋華賞はファインモーションに騎乗。その後、しばらくは日本でプレーする。 イレギュラーな開催となった新潟でのG1制覇。「いいスタートが切れたんで、この調子で頑張っていきたい」。酔いしれた越後のファンの前で、高らかに宣言だ。(小村竜一) |
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