ホーム > 競馬・レース > 03プレイバック > 天皇賞(秋)
天皇賞(秋)
 常識は打ち破られた 2002/10/27・中山競馬場
 
シンボリクリスエスは古馬陣を撃破し、新王者にのし上がった
  3歳の外国産馬が日本の新王者として、ジャパンC(11月24日・中山・芝2200メートル)へ出陣だ―。岡部騎乗の3番人気シンボリクリスエスは好位の内でジッと我慢、直線で爆発的な瞬発力を発揮して抜け出し、古馬陣を完封。鮮やかにG1初制覇を飾った。引退したマンハッタンカフェ、タニノギムレットに代わり、牡馬の主役として秋G1ロードを盛り上げる。

 “藤沢和イズム”が競馬の常識をまた塗り替えた。3歳の外国産馬シンボリクリスエスが並み居る強豪古馬を圧倒。96年に制したきゅう舎の先輩バブルガムフェローに続いて、3歳の天皇賞馬に君臨した。

▼ 第126回天皇賞(秋)
1着  シンボリクリスエス
岡部
1.58.5
  2着 ナリタトップロード
四位

3/4馬身

  3着 サンライズペガサス
柴田善
クビ

 道中は中団前の内でどっしりと構えて流れに乗る。4角手前で各馬が一斉に動くが、鞍上岡部の手は全く動かない。そして直線で前があいたところでゴーサインが出ると、一気に突き抜けた。まるで最強古馬を思わせるような横綱相撲、とても若駒とは思えない堂々とした勝ちっぷり。「直線では手応えがあったから“あくのを待ってましょうか”って感じ。で、あいたところで合図を出したらポンと入っていったよ」。4日後の31日に54歳の誕生日を迎える名手も、馬同様に余裕タップリに振り返る。

 3歳馬であれば秋の目標は3冠ラストの菊花賞。そして伝統の天皇賞は内国産馬のもの。今回のクリスエスの勝利はこの2つの常識を一気に覆した。自身の信念を信じ、そしてスピード重視の世界的な潮流を読み切って、菊回避→盾参戦を決めた藤沢和師。遠征先の京都競馬場でテレビ観戦となったが、ゴールの瞬間には思わずガッツポーズ。「青写真以上に強かった。こっちのローテを選んでよかったね」と会心の笑みだ。(外)出走制度に問題提起をしていただけに、留飲の下がる思いだろう。

 日本の競馬の常識を打ち破ったクリスエスが、次に目指すのはジャパンC。世界各国から強豪が集結するほか、復活をかけてジャングルポケットも立ちはだかる。新たな壁に挑む若き天皇賞馬だが「今回の勝利で胸を張っていけるよね。心の成長があればまだまだ伸びるよ」と岡部。さらに一回り大きくなったクリスエスが、バブルガム(JCは13着)でもなしえなかった3歳馬による盾―JC連覇の快挙に挑む。(浅野将之)

シンボリクリスエス…牡3歳。父クリスエス、母ティーケイ(母の父ゴールドマリディアン)。馬主・シンボリ牧場。生産者・米国 Tワダ。戦績・9戦5勝。重賞・02年青葉賞、神戸新聞杯。総収得賞金・342、610、000円。藤沢和雄調教師は96年バブルガムフェローに次いで2勝目、岡部幸雄騎手は78年グリーングラス(春)、85年シンボリルドルフ(春)、86年クシロキング(春)、90年ヤエノムテキ(秋)、94年ビワハヤヒデ(春)に次いで6勝目。
Copyright(C) 2011 デイリースポーツ/神戸新聞社 All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp