マイルチャンピオンシップ |
やっとたどり着いた場所 | 2002/11/17・京都競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
皇帝の、そして帝王の血が大混戦のG1舞台で騒いだ。7冠馬シンボリルドルフ、4冠馬トウカイテイオーの血を受け継ぐトウカイポイントが父子3代G1制覇を達成、見事に秋のマイル王の座を射止めた。
鞍上・蛯名は心中に期すものがあった。初めてコンビを組んだ前走・富士Sは直線で行き場を失い、全く追えずに5着敗退。「不完全燃焼の競馬で申し訳なかったからね。再び乗せてもらうからには、いい結果を出したかったんだ」。 道中は中団の馬込みで脚をため、残り400メートル地点で一瞬あいたスペースへ迷わず突っ込む。「前走のこともあったし、思い切り追えるところへ」。外アドマイヤコジーン、内ブレイクタイムの間から抜け出すと、あとは追いまくるのみ。鋭い末脚で先頭に立つと、追いすがる後続馬を振り切ってVゴールへ飛び込んだ。 G1馬への道のりは長かった。セリ市でなかなか買い手がつかず、地方・岩手でデビュー。2歳暮れに中央入りしたが、体質の弱さが後藤師を悩ませた。「いいモノは持っていたが、体と気持ちのバランスを整えるのに苦労して…」。適性を感じながらも体に負担のかかるマイル戦ではなく、中距離路線を歩んだのもそのためだ。そして昨夏の放牧時に去勢。「ここまで待ったかいがあったね。馬主の運、騎手の腕、スタッフの気持ちが獲ったG1。なかなか届かなかったから、とてもうれしい」ときゅう舎の初G1制覇に顔をクシャクシャにして喜んだ。 この勝利で登録済みの香港マイル(12月15日)選出は間違いない、日本馬代表として国際G1馬を目指す。セン馬のため4代G1Vの夢は果たせない。トウカイポイントはビッグレースを勝ち続けることで、己の存在をアピールし続ける。(和田 剛) |
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