阪神ジュベナイルフィリーズ |
君臨 無傷の2歳女王 | 2002/12/01・阪神競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
目に鮮やかなイエローの勝負服が馬場の大外から飛んで来る。ピースオブワールドだ。鞍上の左ステッキ連打に応えて力強く脚を伸ばす。内で粘るヤマカツリリーを残り100メートルでかわし、真っ先にVゴールを駆け抜けた。
「うれしい!本当にうれしいです。G1でこれだけ人気した馬に乗るのは初めて。緊張したけど、なるべくリラックスして臨むよう心がけました。結果を出せて良かった」 単勝1・5倍という重責を果たした福永。予想よりゆったりしたスタートにも慌てず中団を追走。外に持ち出して迎えた直線、ゴーサインを送ると「他の馬が止まって見えた」ほどの切れ味で一気に差し切り、表情には安堵(ど)感と達成感がにじんだ。 阪神JF4度目の挑戦で初めてタイトルを手にした坂口大師は「プレッシャーがかかっていたので、今はやれやれという気持ちです。ゴッドインチーフ(98年3着)、マヤノメイビー(99年3着)で悔しい思いをしてきましたからね」とホオを真っ赤に染めていた。 98年の牡馬クラシック戦線、福永は坂口大きゅう舎のキングヘイローで参戦。大きな注目を浴びながら、皐月賞2着など無冠に。ヘイローは高松宮記念でG1馬となったが、その背中にいたのはユーイチではなかった。 「キングヘイローで迷惑をかけた坂口先生には、いつか恩を返したい」という思いを実現させるチャンスと巡り合い、見事に成し遂げた。「少しは恩返しできたかな」というユーイチに、坂口大師も「キングヘイローのときは彼もまだ若くて、かわいそうな部分があった。当時と今とでは雲泥の差。よくぞここまで成長してくれた」と、眼鏡の奥の目を細める。 無敗のまま03年を迎えるピースは、栗東の自きゅう舎で静養して来春のクラシックを目指す。「現時点では欠点が見当たらない。来年も楽しみです」と福永。無敗の2歳女王は、今後も華麗な走りで“世界平和”を訴え続ける。(堀江浩二) |
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