朝日杯フュチュリティーステークス |
ユーイチ 2週連続の戴冠 | 2002/12/08・中山競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
へこたれなかった。「最後は一杯一杯だった」とユーイチが振り返ったゴール前。最内から並びかけてきたサクラプレジデントに一度は捕まったかに見えた。だが、エイシンチャンプは最後の力を振り絞る。そこから信じられないような底力を発揮。首差抜け出して栄光のゴールへと飛び込んだ。このレースが9戦目。出走馬中最多のキャリアが、大舞台のここ一番の勝負どころで生きた。1分33秒5はグラスワンダーの記録を塗り替えるレコードだった。
勝利を確信したユーイチは左手で小さくガッツポーズして見せた。阪神JF、朝日杯FS連覇は騎手としては史上初の快挙。だが、ユーイチの口からまず飛び出したのは周囲への感謝だった。「デビューしてからずっと良くしていただいた瀬戸口きゅう舎の馬で勝てたことがうれしい」。 ユーイチの師匠、北橋師と瀬戸口師は同郷の鹿児島県出身。きゅう舎は隣同士、祝勝会を一緒にするなど、きゅう舎ぐるみの付き合いだ。ユーイチもその一員として、デビュー以来ずっと可愛がられてきた。そんな温かいバックアップに大舞台でこたえた。 4戦全勝で牝馬クラシックの主役を務めるピースオブワールド。そして、中1週続きのたたき上げで地力をつけてきたエイシンチャンプ。タイプの違う牡牝の2歳チャンピオンを擁して、来春のクラシックがグンと楽しみになった。 「距離が延びた方がいい馬。来年はもっともっといいと思う。ずっと詰めて使って本当にタフな馬。これでやっとゆっくりさせてやれる。もっと良くなるわ」。でっかい勲章を射止めたチャンプを、優しいまなざしでねぎらう。 今週はエイシンプレストンで香港カップに挑戦。昨年暮れの香港マイル、今春のQエリザベス2世Cに続く、香港G13連勝の偉業へと挑む。「出来はいいよ。今年最後のG1やし、頑張ってくる」。2週連続G1勝利の余韻に浸りながら、13日に機上の人となる。(小村竜一) |
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