高松宮記念 |
アンカツが夢をかなえた | 2003/03/30・中京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
絶好の手応えで迎えた直線、逃げるショウナンカンプに、ビリーヴが並び掛けた。アンカツが満を持してゴーサインを送ると、一瞬にして置き去りだ。あとはひたすら夢の中央G1ゴールを目指して、追いまくった。待ちに待った感激の瞬間、鞍上は喜びをかみしめるかのように静かにゴール板を駆け抜けた。
「どうや、いいもんだろ」。出迎えた前田幸治オーナーの言葉に、ようやく笑みが漏れた。「こんなに早く、勝てるなんて」。念願のJRA免許を取得してから、30日目で初のG1制覇。しかしその道のりは、決して早いものではなかった。 16年前、笠松時代のオグリキャップの主戦だった。中央入りを応援しながらも、当時の制度で自らは騎乗できない。悔しい思いで見送った。中央・地方の交流元年となった95年、ライデンリーダーで見た夢は、自らの若さで逸してしまった。 それから8年。中央のG1を勝ちたい一心で移籍し、一度ははね返された壁を乗り越えた。移籍後、最初のG1で大歓声の声援に酔った。「直線はこの手応えで負けたらどうしようかと、ドキドキだった。これからも、もっと努力して頑張りたい」。あこがれが現実になり、28日に43歳の誕生日を迎えたばかりの“ルーキー”の口からは、初々しい言葉がこぼれた。 「やっと立ち直ってくれたね。さすがアンカツ」。松元茂師も感慨無量の表情を浮かべる。阪急杯でまさかの9着敗退から巻き返したビリーヴは、昨秋のスプリンターズSに続き、秋春スプリントG1連覇を達成。見事な復活を遂げた女王は、安田記念(6月8日)へ進み、昨年逃したJRA賞ゲットをもくろむ。 さあ本格的なG1シーズンへ突入。2週後の桜花賞では同じ松元茂きゅう舎のヤマカツリリーで挑戦する。2勝、3勝―。アンカツがG1戦線を突き進む。(村上英明) |
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