桜花賞 |
10年目の悲願 | 2003/04/13・阪神競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
最内から伸びてきたシーイズトウショウも、外から追い込んだアドマイヤグルーヴも、余裕を持って封じ込めた。直線早めに先頭に立ったスティルインラブの勢いは、最後まで衰えなかった。阪神コースの桜花賞ではレコードの1分33秒9。完ぺきな強さ、そして速さを桜花賞史の1ページに刻んだ。
好スタートを決め、控えて好位に。道中は「絶好の目標でした」と幸が振り返る、ヤマカツリリーを左前に見ながら抜群の手応えで追走した。「スタート2Fで折り合いがついて、あとは冷静に見ていられました」。松元省師はこの時点で勝利をほぼ確信した。そこにはスティルの絶対能力に対する揺るぎない信頼感があった。 もちろん幸も、スティルに対する絶大な信頼を寄せていた。46回目のG1騎乗で手に入れた初めての栄冠に「今までのG1とは(勝利へのこだわりが)違うと思っていた。ほぼ勝てるんじゃないかと思っていました」。こともなげに振り返ったが完勝の裏にはトライアルで味わった悔しさが原動力になっていた。 前走のチューリップ賞は、マークするライバルに外からかぶせられ、直線で前が壁になる不利が響いて2着。その苦い敗戦も良薬に変え、4コーナーで内シーイズ、外ヤマカツの間に「強引に割って入りました」と、再び不利を受けかねない強気の勝負に打って出た。 2頭の狭い間から抜けて外に持ち出すと、あとはビクトリーロードをひた走るだけ。「直線も長く感じなかった。コース取りがうまく行ったし、外も伸びてこないだろうと思いました」。デビュー10年目で迎えた春。遮るものは、もう何もなかった。 最初の1冠を制して、次はオークス。「特に掛かる馬じゃない。二千四百もこなしてくれると思います」。師も鞍上も口をそろえる。オークスには直行の予定。強い、そして速い桜のヒロインを信じ、胸を張って2冠に挑む。(小村竜一) |
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