皐月賞
 意地と意地がぶつかった 2003/04/20・中山競馬場
激しい追い比べのネオユニヴァース(左)とサクラプレジデント
 前半は中団にいたネオユニヴァースとサクラプレジデントが直線、馬群を抜け出し一騎打ちになった。激しい競り合いの末、ネオユニヴァースが頭差先着。重賞3連勝でクラシックホースになった。3着にはエイシンチャンプが入った。

 絶対に勝つんだ、絶対に負けたくない―。ポジションこそ違え、前哨戦のスプリングSと同様に完全に一騎打ちとなった最後の直線は、デムーロ&ネオユニヴァースと田中勝&サクラプレジデントの気迫が、魂が激しくぶつかり合った。死闘をわずかに頭差で制したのはネオユニヴァース。4連勝でまずは1冠をゲット。デムーロは昨年2着(タイガーカフェ)の雪辱を見事に果たし、10度目の挑戦でJRAのG1を制した。

▼ 第63回皐月賞
1着  ネオユニヴァース
デムーロ
2.01.2
  2着 サクラプレジデント
田中勝
アタマ
  3着 エイシンチャンプ
福永
3 1/2

 「4角でペースが落ちて横一線になったときは、脚を余して負けると思った。神様が、最高のプレゼントをくれました」

 力量はほぼ互角。両馬の明暗を分けたのは、デムーロも強調したように直線入り口の一瞬の場面だった。もし、エースインザレースが内へヨレなければ開くことがなかった1頭分のスペース。緩急の激しい道中の流れに苦しみ、中団のインで窮屈な競馬を強いられてきた鞍上は、起死回生の好機を逃さなかった。デムーロの腕と、そこに突っ込めたネオ自身の心身両面の強さが、運を呼び込んだといえるだろう。

 「自分の馬(の力)を信じていた。とにかく勝負根性があるので、叩き合いになれば勝てるのではと思っていたよ」

 デムーロは今回の短期免許期間を満了。21日に成田発の便でイタリアへ帰国するが、年内にJRAで1カ月分の権利行使が可能。母国で契約している調教師と本人、そしてネオの馬主である社台サイドとの協議次第ながら、直行するダービーに合わせて再来日し、2冠を目指す可能性も十分だ。「いつでも(ネオのために)帰ってきたい気持ちはある。四百メートルの距離延長?ノープロブレムだよ」。満面に笑みをたたえて、デムーロは語った。(野田口 晃)

ネオユニヴァース…牡3歳。父サンデーサイレンス、母ポインテッドパス(母の父クリス)。馬主・去ミ台レースホース。生産者・千歳 社台ファーム。戦績・6戦5勝。重賞03年きさらぎ賞、スプリングS。総収得賞金・250、416、000円。瀬戸口勉調教師、M・デムー ロ騎手ともに初勝利。
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