皐月賞 |
意地と意地がぶつかった | 2003/04/20・中山競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
絶対に勝つんだ、絶対に負けたくない―。ポジションこそ違え、前哨戦のスプリングSと同様に完全に一騎打ちとなった最後の直線は、デムーロ&ネオユニヴァースと田中勝&サクラプレジデントの気迫が、魂が激しくぶつかり合った。死闘をわずかに頭差で制したのはネオユニヴァース。4連勝でまずは1冠をゲット。デムーロは昨年2着(タイガーカフェ)の雪辱を見事に果たし、10度目の挑戦でJRAのG1を制した。
「4角でペースが落ちて横一線になったときは、脚を余して負けると思った。神様が、最高のプレゼントをくれました」 力量はほぼ互角。両馬の明暗を分けたのは、デムーロも強調したように直線入り口の一瞬の場面だった。もし、エースインザレースが内へヨレなければ開くことがなかった1頭分のスペース。緩急の激しい道中の流れに苦しみ、中団のインで窮屈な競馬を強いられてきた鞍上は、起死回生の好機を逃さなかった。デムーロの腕と、そこに突っ込めたネオ自身の心身両面の強さが、運を呼び込んだといえるだろう。 「自分の馬(の力)を信じていた。とにかく勝負根性があるので、叩き合いになれば勝てるのではと思っていたよ」 デムーロは今回の短期免許期間を満了。21日に成田発の便でイタリアへ帰国するが、年内にJRAで1カ月分の権利行使が可能。母国で契約している調教師と本人、そしてネオの馬主である社台サイドとの協議次第ながら、直行するダービーに合わせて再来日し、2冠を目指す可能性も十分だ。「いつでも(ネオのために)帰ってきたい気持ちはある。四百メートルの距離延長?ノープロブレムだよ」。満面に笑みをたたえて、デムーロは語った。(野田口 晃) |
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