天皇賞(春) |
もうミラクルじゃない | 2003/05/04・京都競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
咲き誇った菊の大輪は、春の盾へのプロローグだったのか。ヒシミラクルがステイヤーの血をたぎらせ、淀の舞台でG1馬の強さを存分に見せ付けた。 勝負の決め手となったのはやはり、淀の長丁場名物2周目の坂の下り。「切れのある馬と“用意ドン”になるとつらいので、4コーナーではセーフティーリードを取っておこう、と。菊花賞と同じように早め早めの競馬を心がけました」。自ら「理想的なレース運び」だったという菊を手本に角田は、先団目掛けて徐々にポジションを上げて行く。
そして4コーナーでは大外へ。先行馬たちをアッサリ掃除すると、そこからは強者だけが踏みしめるVロード。サンライズジェガー、ダイタクバートラムの追撃をも振り切り、天皇賞馬という誇り高き勲章を手に入れた。 「イメージどおりの競馬。大一番に向け状態も良くなってましたからね。その分がプラスアルファに働きました」。菊に続き“ミラクルアゲイン”を演出した角田は、額から流れる大粒の汗をぬぐおうともせず、沈着冷静に話した。 阪神大賞典、大阪杯と前哨戦を2度叩き、状態はピーク。7番人気の低評価だったが、佐山師は「二千メートルの前走でも59キロを背負いながら、あれだけ差してきましたからね。“天皇賞はいける!”と内心、思ってたんです。過酷なローテだとか言われましたが、これでいいと信じてました」。 このあとは安田記念(6月8日・東京)に参戦し宝塚記念(6月29日・阪神)というプランを表明。2マイルから1マイルへ、異例ともいえるローテにも「みなさんは笑われるかもしれませんが、府中の長い直線なら、と私は思ってるんですよ」。淀から舞台を府中に移し、ヒシミラクルが3度目の奇跡を、巻き起こそうとしている。(竹下かおり) |
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