NHKマイルカップ |
幸四郎 2度目のG1ゲット | 2003/05/11・東京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
新スタンドの大屋根に、ファンの悲鳴と歓声がこだました。9番人気の伏兵ウインクリューガーが、直線坂上で悠々と先頭に立つ。しかしゴールまでまだ300メートル、ゴール板が37メートル移設された新装・東京競馬場の直線は長い。それでも世界を制した史上最強マイラー・タイキシャトルを父に持つ栗毛馬の脚色は、最後まで衰えない。エイシンツルギザン以下を突き放してG1ゴールに飛び込んだ瞬間、武幸は右手を大きく上げてガッツポーズを決めた。
「少し早いかとは思ったけどね。先頭に立ってからは馬を励ましながら、とにかく必死に追った。直線が長い、きょうは特に長く感じた」。00年秋華賞ティコティコタックに続くG12勝目。当時も10番人気でアッと言わせていた。「関東の、しかも新装東京のG1を勝ててうれしい。たくさんのお客さん、大きいスタンドの前で勝てて最高です」。波乱の立役者は、顔をクシャクシャにして喜びを爆発させた。 松元茂師も、予想以上の完勝に会心の笑みを浮かべた。「もっとダンゴ状態、横一線のゴールかと思ったけどな」。高松宮記念(ビリーヴ)に続きG1は早くも2勝目。体調が整わなかった有力馬シルクブラボーの回避を決断、ウインクリューガー1頭にかけて臨んだ一戦だった。 初年度産駒として父に勲章をもたらした孝行息子は、12日にも放牧に出される。「こんなに早く、G1を取れるとはね。完成はこの秋か4歳になってからと思ってたから」と同師はさらなる成長を予言、秋は偉大な父を超える闘いが待つ。 単勝、枠連、馬連とすべてがレース史上最高配当。もちろん馬単が4万2390円、3連複は9万6490円と、舞台が京都から東京に変わってもG1戦線は荒れ放題。1週あいて迎えるオークス、ダービーは、どんな結末が待っているのだろうか…。(和田 剛) |
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