オークス(優駿牝馬) |
10年ぶりの2冠牝馬誕生 | 2003/05/25・東京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
樫の舞台で2番人気に甘んじようと、桜のティアラは色あせたりしない。最後の直線、幸がゴーサインを出すと、馬場の外めから力強く抜け出したスティルインラブ。幸が右手を高く上げ、10年ぶりの2冠牝馬が誕生した。
「今日は桜花賞以上にうれしいですね」。お立ち台の上で幸が端整なマスクを紅潮させる。チューリップ賞を自らのミスで落とした責任を感じ、大きなプレッシャーに包まれた桜花賞。「あのときはホッとしたのが一番でしたけど、今日はうれしいというのが大きかった。気楽に乗れましたし、距離も能力でこなしてくれると信じてました」。 新装された東京競馬場を攻略するため、前日も東京で騎乗。包まれるのを嫌って早めに外に出した理想的なレース運びには、その成果が表れていた。 本番に備えたのは人だけではない。馬も金曜に入きゅうし、前日には幸を背にスクーリングした。「普段はスタッフに任せっ切りなので、またがるのは桜花賞以来。でもすごく落ち着いていたので、ボクも落ち着けました。レースでもまたがってただけですから」。幸は馬の力を強調する。 管理する松元省師は、伊藤雄師に続く現役2人目の春の4大クラシック完全制覇を成し遂げた。この日の昼、トウカイテイオーの名前入りの馬運車を目にしたという師は「初めて見たのでね。縁起がいいから“勝てる”と思いました」とエピソードを明かした。牡馬で2冠を達成した馬こそ、そのトウカイテイオー。きゅう舎の偉大な先輩も、妹分の背中を後押ししたのかもしれない。 このあとは未定だが、夏は休養に充て秋に備える公算が大きい。「何も注文を付けるところのない馬。ボクがこの馬に見合うように成長することが大事ですね」。幸の言葉が女王の力を証明する。きたるべき秋。それはメジロラモーヌ以来17年ぶり2頭目の3冠牝馬誕生の瞬間になるかもしれない。(竹下かおり) |
|||||||||||||||||||||||||||
|