ダービー(東京優駿) |
デムーロ 感涙のダービー制覇 | 2003/06/01・東京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
まぶたから熱いものがあふれて止まらない。ウイニングランをしながら、デムーロは2度、3度とソデで涙をぬぐった。 スタンドは勝者を称えるデムーロ・コールの大合唱に包まれた。ネオユニヴァースを2冠馬に導いた主役は、大観衆に向かってヘルメットを取って何度もおじぎをした。そして、相棒を褒めてくれ―とばかりに馬上で、もう1頭の主役を指さした。そのたびに沸き上がる歓声と拍手に、また新たな涙がにじんできた。地下馬道に消える直前、もう一度ヘルメットを脱ぎ、頭を下げて大勢のファンに感謝した。
世代の王者に向かう直線の追い比べ。馬場の真ん中から先頭に抜け出したときにも、ファンの歓声はその耳に届いていたという。「いつもファンが後押ししてくれる。あれで勝てると思った」。 母国イタリアでトップジョッキーの地位を固め、20歳の99年から5年連続で短期免許による日本参戦。“第2の故郷”で外国人騎手では初の日本ダービー制覇に「考えることができないぐらいに素晴らしい。明日になれば、もっとうれしさが込み上げてくると思う」。昨年、母国のダービーを制したナイスガイが、興奮でほおを紅潮させた。 この日の騎乗には運も味方した。昨年までは伊ダービーと日本ダービーは日程がかち合い、両方に乗るのは不可能だったが、日本の番組が1週間後ろにずらされ、両立が可能になったのだ。 もちろん、2冠の手応えがあったからこその来日。「来ると決めたときから勝つと思っていた。皐月賞は直線で狭くなったけど、きょうはスペースが広くあいていたので抜けやすかったよ」と笑顔で振り返る。 今週の安田記念(8日)はテレグノシスに騎乗。その後、一度帰国して宝塚記念(29日、騎乗馬未定)にまた日本のファンに姿を見せる予定。「言葉ではとても説明できないぐらいうれしい。何度もダービーに来て、何度も勝ちたいね」。勝利の余韻に浸りながら、G1騎乗機会3連勝に挑む。(小村竜一) |
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