宝塚記念 |
豪華キャストの主役はミラクル | 2003/06/29・阪神競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
ヒシミラクルの勝負服がまばゆく揺れる。3角過ぎ、角田の手綱が激しく躍動していた。馬の強さを知り尽くした騎手の、絶妙のタイミングでの追い出しだった。
直線、先に抜けたタップダンスシチーが先頭。その外を芦毛のサッカーボーイ産駒、角田のステッキがうなった。残り50。ツルマルボーイが鋭く脚を伸ばす。最後の最後まで伸び続けたミラクル。馬のしぶとさをフルに引き出した騎手。猛追をしのぎきって首差。また一つ、勝利の軌跡を描いた。 角田の額からは、汗がとめどなく流れている。「距離は二千二百メートルだったので、展開は厳しくなると思っていた」。だが、菊花賞、天皇賞・春と同じように、3角からいつもどおりのスパートをかけていった。「ちょっとでもブレーキをかけてしまうと馬の持ち味が消えてしまう。だから、4コーナーは、外を気持ちよく行かせてやろうと思った」。角田にしかできない、ミラクルにしかできない、ロングスパートをまたまた成功させた。 お立ち台に立った佐山師は、「まず、角田の好騎乗」と、さわやかな笑顔で言った。「中距離でもやれることを証明できた。夏場は休ませて、秋は二千メートルの天皇賞を使いたい」。春の盾、夏のグランプリ。そして次は秋の盾だ。 大歓声のゴールを駆け抜けた後、角田は、相棒にこう声をかけた。「頑張ってくれて、ありがとう。これからも頑張ろう」と。(岩下昌弘) |
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