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スティルインラブはアドマイヤグルーヴ(右)の追撃をかわし、3冠達成 |
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秋の淀に艶やかな大輪が花開いた。2番人気のスティルインラブは、「第8回秋華賞・G1」は主戦の幸を背に直線外から抜け出して快勝。春の桜花賞、オークスに続き、3歳牝馬G1すべてを制覇。1986年のメジロラモーヌに続く、史上2頭目の牝馬3冠達成の偉業を成し遂げた。次走はエリザベス女王杯(11月16日)が有力で、古馬牝馬に挑む。
残り1F。先頭に躍り出たスティルインラブの行く手を阻むものは、もう何もない。17年ぶりの快挙へ、ビクトリーロードをひた走るだけ。最大のライバル・アドマイヤグルーヴの気配を背中で感じながらも、鞍上の幸は怖さを感じなかった。「内の馬をかわした時に勝てると思った」。ただ力を信頼していた。その思いに、パートナーはパーフェクトに応えた。
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第8回秋華賞 |
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1着 |
スティルインラブ |
幸 |
1.59.1 |
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2着 |
アドマイヤグルーヴ |
武豊 |
3/4馬身 |
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3着 |
ヤマカツリリー |
安藤 |
クビ |
22キロ増だったローズS5着から、数字こそ4キロ減だったが、見事に引き締まったボディーに変身。不安視されたスタートもこなし、折り合いもきっちり。分岐点は3コーナー。予想以上に落ち着いたペースに、鞍上は自ら勝ちに行く作戦を選択。残り4Fから11秒台のラップが並ぶロングスパートを、春の輝きを取り戻したスティルは見事にこなしてみせた。3歳最強牝馬にふさわしいレースで名誉をもぎ取った。
メジロラモーヌ以来、史上2頭目の牝馬3冠。とびっきりの笑顔で引き揚げてきた幸に、松元省師は「ありがとう」と、声をかけると「文句のつけようのない、本当に内容のあるレースをしてくれた」。ほっとした思いで振り返った。
91年、松元省師は皐月賞、ダービーをトウカイテイオーで制しながら、骨折で3冠挑戦の道は閉ざされた。12年遅れのタイトルに「3冠の実感は、これから肩にのしかかってくると思います」というのが正直な思いだ。今後についてオーナーの前田幸治氏は「エリザベスでも有馬でも」と気炎を上げる。3冠物語の最終章はハッピーエンドで幕を閉じた。これからまた新たな戦いが始まる。(小村竜一)
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