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競り合いを制して武豊はアドマイヤグルーヴ(右)を頂点に導いた |
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18センチの死闘―。しかし、勝ったのは確かにアドマイヤグルーヴ。「エリザベス女王杯・G1」(16日・京都)、牝馬3冠すべてに涙をのんだ悔しさを糧に、4度目のG1挑戦でスティルインラブを撃破。G1を勝つ宿命を背負って生まれた名牝の娘が、ついに史上初の母娘3代G1制覇を成し遂げた。また、このレース3連覇の武豊は、京都4Rで自己の持つJRA年間最多勝記録(99年・178勝)を更新。グルーヴ・ユタカの豪華タッグが“統一女王”の座に就いた。
祖母、そして母から受け継いだ“血”が、最後の最後で見事に花咲いた。
直線半ば、目の前にいたのは、やはり3冠馬スティルインラブ。秋華賞と同じ形。アドマイヤグルーヴがいよいよ外からラストスパートをかけた。馬体が合う。だが、スティルも抜かせない。2頭のマッチレースにかたずをのむ場内。そして、そのままゴールを迎えた時は、グルーヴがわずか18センチ差で、悲願のG1初制覇を果たした。
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第28回エリザベス女王杯 |
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1着 |
アドマイヤグルーヴ |
武豊 |
2.11.8 |
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2着 |
スティルインラブ |
幸 |
ハナ |
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3着 |
タイガーテイル |
藤田 |
1 1/2 |
父サンデーサイレンス。祖母と母は、2代にわたるオークス馬のダイナカールとエアグルーヴ(97年天皇賞・秋)。血の背景から、周囲の期待はいやが上にも高い。だが、牝馬3冠レースはいずれもスティルの後じんを拝していた。
大一番を前に橋田師は強気になれなかった。「精神面で成長してるんですが、肉体面でね。もっと体に幅が出てこないと…。来年はきっと良くなるんですがね」。その幼い肉体をも克服してもぎ取った勲章。最大の強敵を死闘の末に下したのは、トップに立つことを宿命づけられた血のなせる業といえようか。
「よく頑張ってくれました。ほんとに良かった」。橋田師はホッとしたように喜びを表現した。オーナーの近藤利一氏は「きのうは門戸厄神(西宮市)で願をかけてきたんよ。それが報われたよ」と、苦しみから解放されたように表情を崩した。宿敵スティルを下したグルーヴは、来春にさらなる飛躍を求めて休養に入る。(橋本 進)
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