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再び鬼脚サク裂。大外一気で2度目のG1制覇を決めたデュランダル |
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「マイルチャンピオンシップ・G1」は、デュランダル(池添謙一騎乗)が1分33秒3のタイムで勝ち、スプリンターズステークスに続いてG1連覇、賞金9400万円を獲得した。2着にファインモーションが入り、3連複が3万4480円の高額配当になった。レースはギャラントアロー、ウインクリューガーの先行争いで始まったが、最後の直線で後方からデュランダルが鋭く抜け出した。3着はギャラントアロー。
中世フランス最古の武勲詩「ローランの歌」に出てくる、名剣デュランダル。飛び切りの名刀から名を受けた極上の切れ味は、淀マイルの厳しい大舞台でも決してさびつくことはなかった。4コーナー、大外。まるで時間を止めたように猛追するスプリント王は、四百メートルの直線で前を行く15頭をすべてパス。上がり33秒5というマイルCS史に残る極め付きの末脚を駆り、完ぺきな強さでマイル王の称号までももぎ取った。
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第20回マイルチャンピオンシップ |
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1着 |
デュランダル |
池添 |
1.33.3 |
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2着 |
ファインモーション |
武豊 |
3/4馬身 |
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3着 |
タイガーテイル |
藤田 |
1 1/4 |
若武者・池添は何度も左こぶしを振り上げ、大観衆に誇示。人さし指を突き出し「デュランダルが一番強い!」と、ほおを紅潮させた。そして背中越しにパートナーに抱きつくと、感謝を込めて熱いキス。3つ目のG1獲得。騎手として、またひとつレベルを高めた瞬間だった。
歓喜のフィニッシュとは対照的に、レース中はあくまで冷静。ファインモーションをマークしながら、4角で大外に持ち出すことだけを意識していたという。「先頭のギャラントアローがあまりに遠くて…。でも末脚を信じてましたから。直線の半ばで勝てると感じて、うれしくなった。ゴールのあと、自分でギャーギャー叫んで、周りの声が聞こえなかったほど。ユタカさんに“おめでとうって言うてるやろ!”って、怒られちゃいました」と、池添はちゃめっ気たっぷりに笑った。
クールな坂口大師も「久しぶりに声が出ましたねえ」と振り返る。「カイバ食いがよくなり、去年(10着)とは状態が違いました。ひょっとしたらと思っていたんですよ」とG1連覇に言葉が弾んだ。「全力投球するタイプで疲労が残りやすい。今後のことはまだ未定です」と香港遠征を含めて、ローテは白紙。ただ混戦のスプリント、マイル界に、デュランダルという強烈な大将が誕生したことだけは、まぎれもない事実だ。(藤村和彦)
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