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ジャパンカップ
 9馬身差 府中で踊ったタップダンス 2003/11/30・東京競馬場
 
後続に9馬身差をつけて逃げ切ったタップダンスシチー
 4番人気タップダンスシチーが歴史に残る強さで、内外の強豪たちを蹴散らした。最内枠からハナに立つと後続を大きく引き離し、2着以下にJC史上最大の9馬身差をつける圧勝劇。カツラギエース以来19年ぶりとなる逃げ切りを鮮やかに決めた。佐々木晶師は開業10年目で初のG1V、「有馬記念も勝って年度代表馬を取りに行きます」と力強く宣言した。

 2段ロケットの大逃走劇だった。タップダンスシチーは(1)番枠から好スタートを切ると、軽快にハナを奪う。2馬身、3馬身。重馬場にもおくすることなく、グイグイと独り旅に持ち込む。まず1発目のエンジンを3角で噴かした。馬群を置き去りする姿に、府中の8万観衆がどよめく。

▼ 第23回ジャパンカップ
1着  タップダンスシチー
佐藤哲
2.28.7
  2着 ザッツザプレンティ
安藤
9馬身
  3着 シンボリクリスエス
ペリエ
3/4馬身
  直線に入っても、差は縮まらない。残り百五十メートル。こん身の力を振り絞って再び闘志に点火、ラストスパートに入った。ザッツ、クリスエスなどははるか9馬身後方で2着争い。歴史に残る大差をつけて、念願のゴールラインを越えた。

 何度もガッツポーズを繰り返しながら、佐々木晶師は検量室に姿を見せた。待ち受けていたきゅう舎スタッフと抱き合って、「すごいなあ。強かったなあ」と喜びを分かち合い、引き揚げてきた馬と騎手に「やったぜ!」と声をかけた。

 15年目のベテラン・佐藤哲の、夢と信念とが結実した。「カツラギエースのジャパンCでの逃走劇(84年)を見て、騎手にあこがれた。実際にこうやって勝てて格別の味です」。96年朝日杯3歳S(マイネルマックス)以来7年ぶり2度目のG1制覇に、感激にむせた声を絞り出した。

 あと一歩で届かないビッグタイトル。クリスエスとの差を詰めるには、どうしたらいいのか―。考えに考えて、ここを勝つために天皇賞・秋を見送った。「ハードにハードに鍛え抜いて、これ以上ない仕上げを施した。一世一代の大仕事をする気でいた」と佐々木晶師。陣営の意地が実った瞬間だった。

 もちろん次のターゲットは、暮れの有馬記念、「勝って年度代表馬を取りに行きます」。遅咲きの大器が、新たな夢をつかみに走り出す。(岩下昌弘)

タップダンスシチー…牡6歳。父プレザントタップ、母オールダンス(母の父ノーザンダンサー)。馬主・蒲F駿ホースクラブ。生産者・米国 エコーヴァリーホースファーム。戦績・32戦9勝。重賞・02年朝日チャレンジC、03年金鯱賞、京都大賞典。総収得賞金・746、327、000円。佐々木晶三調教師、佐藤哲三騎手ともに初勝利。
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