ジャパンカップ |
9馬身差 府中で踊ったタップダンス | 2003/11/30・東京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
2段ロケットの大逃走劇だった。タップダンスシチーは(1)番枠から好スタートを切ると、軽快にハナを奪う。2馬身、3馬身。重馬場にもおくすることなく、グイグイと独り旅に持ち込む。まず1発目のエンジンを3角で噴かした。馬群を置き去りする姿に、府中の8万観衆がどよめく。
何度もガッツポーズを繰り返しながら、佐々木晶師は検量室に姿を見せた。待ち受けていたきゅう舎スタッフと抱き合って、「すごいなあ。強かったなあ」と喜びを分かち合い、引き揚げてきた馬と騎手に「やったぜ!」と声をかけた。 15年目のベテラン・佐藤哲の、夢と信念とが結実した。「カツラギエースのジャパンCでの逃走劇(84年)を見て、騎手にあこがれた。実際にこうやって勝てて格別の味です」。96年朝日杯3歳S(マイネルマックス)以来7年ぶり2度目のG1制覇に、感激にむせた声を絞り出した。 あと一歩で届かないビッグタイトル。クリスエスとの差を詰めるには、どうしたらいいのか―。考えに考えて、ここを勝つために天皇賞・秋を見送った。「ハードにハードに鍛え抜いて、これ以上ない仕上げを施した。一世一代の大仕事をする気でいた」と佐々木晶師。陣営の意地が実った瞬間だった。 もちろん次のターゲットは、暮れの有馬記念、「勝って年度代表馬を取りに行きます」。遅咲きの大器が、新たな夢をつかみに走り出す。(岩下昌弘) |
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