|
|
鞍上もガッツポーズ。2歳王者に輝いたコスモサンビーム |
|
4番人気のコスモサンビームが、逃げ粘る1番人気メイショウボーラー(ペリエ騎乗)を首差捕らえてV。見事に今年の2歳チャンピオンの座を獲得した。短期免許で来日中のダリオ・バルジュー騎手(27)=イタリア=は、日本でのG1初勝利。佐々木晶三調教師はジャパンCに続き、今秋2度目のG1制覇を達成した。
迷いはなかった。直線、外によれるアポインテッドデイ。その内を一瞬で突くと、バルジューは先頭のメイショウボーラーを射程圏に入れた。しなるぺリエの左ムチ。絡みつくようにバルジューの右ムチが舞う。温厚なイタリアの好漢が、猛獣のような形相で世界有数の名手に魂をぶつける。これでは百戦錬磨のぺリエもひとたまりもない。残り50メートル。飛ぶように強襲したコスモサンビームは鮮やかに首差、ボーラーを捕らえ切った。
|
▼
第55回朝日杯フューチュリティS |
|
1着 |
コスモサンビーム |
バルジュー |
1.33.7 |
|
2着 |
メイショウボーラー |
ペリエ |
クビ |
|
3着 |
アポインテッドデイ |
柴田善 |
3/4馬身 |
「きょうは一日中、このレースのことを考えていました。逃げる馬(メイショウボーラー)が強いのは分かっていたので、スタートでミスをせず、不利のないレースをしようと思っていたんです」と見事に最内枠を生かしたバルジュー。実は中山には大きな忘れ物があった。昨年のジャパンCをお手馬・ファルブラヴが制覇。しかしその手綱を取ったのは、母国の偉大な先輩、世界No.1のデットーリだったのだ。味わった悔しさをぶつけた、2年越しの夢。「勝ったことが今でも信じられない。あす、新聞で確かめないと…」と戸惑うような笑顔で周囲を笑わせた。
ジャパンCに続く、(1)枠(1)番でのG1制覇。佐々木晶師も笑いが止まらない。「まさか勝つとはね。僕の寿命、だんだんと縮まってるんと違うか」と首をひねる。サンビームは近日中に、静内のビッグレッドファームに放牧。来春はニュージーランドT―NHKマイルCというローテを刻む。たぐいまれな成長力と好枠を生かして、小倉2歳Sの“5馬身差敗北”を“首差勝利”へと変えてみせた人馬。地味だが、しんの通った名コンビだ。(藤村和彦)
|