ダービー(東京優駿) |
カメハメハ 驚がくレコードで2冠 | 2004/05/30・東京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||||
千メートルの通過が57秒6。目を疑うような反ダービーペースの中で、キングカメハメハと安藤はどこまでも冷静だった。3角過ぎ、ハイアーゲームの早めの仕掛けに付き合い、4角ではコスモバルクに寄られるロス。いずれも力で跳ねのけ先頭に躍り出ると、ラストの5百メートルはまさに独壇場。1、2、3、4、5発。初めて浴びるステッキの洗礼を励みに、一歩一歩、誰よりも力強く突き進む。ハイアーゲームが脱落すると、今度はハーツクライ。ゴール直前で受けたこの強襲もしのぐと、頂点を決めたゴールでは安藤の右拳がきれいに宙を舞った。ダービーレコード、2分23秒3。3歳馬の常識を超えた、驚愕の数字だ。
史上初の、NHKマイルC―ダービーの連覇。“新時代”の2冠制覇を、松田国師は有言実行で成し遂げてみせた。「たくさんの人に、このローテーションについて言われているのは分かっていましたから…。どんな馬でも、このローテーションを選択するわけではありません。それだけの器じゃないと、壊れてしまいますから」。カメハメハだからこそ、できると判断したダブル制覇。「1コーナーの位置取りは素晴らしかったですね。反応がいい馬で、簡単にはバテません。安藤騎手も、自信を持って早めに先頭に立つ競馬をしたのだと思います」と、胸を張った。 カメハメハのこの強さには、誰もが“世界”への可能性を感じるだろう。だが「ダービーが目標でしたからね。(海外遠征を含めて)今後のことは宿題にさせてください」と今後に関しては、封印を決め込む。一昨年のタニノギムレットに続き、1番人気でのダービー制覇。ここ4週間で3回のG1勝利など、その卓越した手腕には驚くほかない。「自然とそうなりました。馬も褒めたいし、うちのスタッフの底力。自慢したいですよ」と、誇らしげに、優しく笑った。(藤村和彦) アンカツ 初のダービー制覇 史上初の地方競馬出身騎手のダービー制覇。快挙を成し遂げても、安藤は自然体のままだった。「まだ、実感がわかないね」。珍しく見せたガッツポーズもちょっと控えめなもの。大観衆の興奮とは対照的にいつものクールなスタイルに変わりはない。 だが、キングカメハメハの勝利を信じて疑わなかったのは、誰よりも安藤自身だった。「勝って当たり前という気持ちがあった。だから、うれしいというより、ホッとしたという感じだね」と“本音”を吐く。誰もが頂点に位置づけ、渇望するタイトル。それほど大きな舞台に立ちながら、「1番人気でも、ダービーでも、変わりなかったね」というのだから、恐れ入るしかない。 頼もしい相棒・カメハメハについては「普通の馬なら最後は止まるような競馬だったからね。何事にも動じないし、素晴らしい馬」と称える。またひとつ、そして最高の栄冠を手にした名手は「あすの新聞を見るのが楽しみ」と最後に笑った。
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