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圧倒的な強さで逃げ切ったメイショウボーラー(右端)が新ダート王に。左から2頭目は2着シーキングザダイヤ=東京競馬場 |
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新ダート王の誕生だ。メイショウボーラーが、圧倒的なスピードの差をみせつけ、レコードタイムでG1初制覇。1番人気の期待に応えた。2着にも4歳馬シーキングザダイヤが入り世代交代をまざまざと印象づけた。連覇を狙ったアドマイヤドンはスタートで出遅れて5着に終わった。
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第21回フェブラリーステークス |
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1着 |
メイショウボーラー |
福永 |
1.34.7 |
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2着 |
シーキングザダイヤ |
ペリエ |
1
1/4 |
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3着 |
ヒシアトラス |
蛯名 |
クビ |
不良馬場で持ち味が存分に生きた。勝ちタイム1分34秒7。掲示板にレコードの赤い文字。過去、逃げ切った馬はいない。だれもが強さを確認した。ゲートが開いた瞬間、スタンドに大きなどよめきが起こる。アドマイヤドンが出遅れた。だが、メイショウボーラーはわが道を行くだけだった。小雨の降る中、あふれるスピードを遺憾なく発揮する。すぐに先頭に立つと、後続を5馬身引き離しながらの独り旅。速いラップを刻みながら直線へ。福永が懸命に手綱をしごく。ボーラーも“激励”に応える。最後まで歯を食いしばり追撃を振り切った。
調子がよくなると行きたがる面をみせる。福永は道中折り合いに専念した。「抑えが利くか利かないか分かっているので。あとは開き直って、馬の気分で行くだけだった。着差以上に強かった。すごい馬だと思う」。力を出し切った相棒に感謝とねぎらいの言葉をかけた。
芝ではなかなか壁を破ることはできなかった。白井師は以前から温めていたダートへの転向を考える。デビューから小倉で滞在していたときに、ダートコースでの追い切りの動きを見て、適性の高さを感じ取っていた。「2歳馬離れしたすごいフットワークだった」と振り返る。
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プレゼンターの若槻千夏に祝福を受け笑顔の福永=東京競馬場 |
陣営は4歳を迎えて路線変更を決断。調教メニューに坂路だけでなく、コースを取り入れ対策を施した。その努力が実を結ぶ。ガーネットS、根岸Sを連勝。そして頂点に上り詰めた。観戦した松本好雄オーナーは「(白井)先生に相談されたときは、クラシックも好走していたので、もうちょっと後でもいいと思っていたが…。プロの目を改めて感じましたね」と“眼力”に敬意を表した。
次は高松宮記念(3月27日・中京)へ。「千二百メートルならスピードを生かせると思う」と芝のG1でも短距離なら十分通用するとみる。将来は海外遠征も視野に入れている。「最高の舞台を与えるのが仕事だと思っている」とトレーナー。最大の目標は10月に行われる米G1ブリーダーズCスプリント(ダート千二百メートル)。世界へ向けて可能性は広がるばかりだ。(中江 寿)
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