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直線、弾けるように抜け出したアドマイヤマックス(18)。右は3着プレシャスカフェ=中京競馬場 |
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ユタカ・マジック鮮やか。武豊騎乗のアドマイヤマックスが大外(18)番枠を克服、直線一気に抜け出して完勝した。デビュー当時から期待を集めた素質馬が手にした初のG1タイトル。高松宮記念が千二百メートルのG1に昇格して以来、(18)枠が10年目にして初めてVを飾った快挙だった。
ここ大一番、魅せてくれたのやはりこの男だった。(18)番大外枠のアドマイヤマックス。致命的とさえ言われる不利も、武豊にはまるで通用しない。スタートをきれいに決めると中団の外め。直線に入っていざ追い出すと、馬場の真ん中から弾けるように抜け出した。2着キーンランドスワンに2馬身半差の完勝劇。マックスに初のG1馬の称号を与えると同時に、自らも高松宮記念(G1昇格以来)初制覇を飾るものだった。
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第35回高松宮記念 |
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1着 |
アドマイヤマックス |
武豊 |
1.08.4 |
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2着 |
キーンランドスワン |
四位 |
2
1/2 |
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3着 |
プレシャスカフェ |
蛯名 |
クビ |
お立ち台では晴れやかな笑顔を浮かべた。「まさか勝てるとは思ってなかったし、それだけにうれしいです」。正直な胸の内だろう。しかし武豊ならではの、したたかな“読み”もあった。「最終日で馬場の内側も悪くなってましたからね。午後はさらに傷んできてました。だから内に入ろうとかは全然考えなかったですよ」と、馬場の外めを焦ることなく進出していった。
「外枠がかえって良かったです。逃げたカルストンが外めを通ってくれたのも良かった」。振り返れば(18)番枠を最大限に生かし、鮮やかにまで手にした勝利だった。これこそ“ユタカ・マジック”と言うべきか。ごくスムーズに、見る者に“タネ明かし”されなければ分からないほどの手綱さばきといえた。
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愛・地球博マスコットのキッコロちゃんから祝福を受け武豊も笑顔=中京競馬場 |
「4コーナーをいい感じで回れたし、かわす時の勢いはすごかったですよ」と、余韻を楽しむかのように声を弾ませた。橋田師も顔をクシャクシャにして喜びを表した。「うまく乗ってくれましたね。(18)番を引いた時は、どうしょうかと頭を抱えたほどです。馬体が絞れたのも良かったんでしょうが、結局は乗り役さんが手の内に入れてくれてるのが大きかったですね」と最大限の言葉で称えた。
安田記念2着などG1にあと一歩届かなかったマックスだが、晴れてG1馬に輝いた。「このあとは安田記念を目指します」と橋田師。もうこれからは胸を張ってG1戦線に登場できる。(橋本 進)
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