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ディープインパクト(右)が直線で2着のシックスセンス(左から2頭目)以下を大きく引き離して皐月賞を制覇=中山競馬場 |
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次元が違う、エンジンが違う―。皐月賞史上2番目の単勝支持を受けた大本命・ディープインパクトが圧倒的人気に応え快勝。まずは最初の1冠をクリアした。スタートしてすぐにつまずくアクシデントで後方からの競馬になったが、それも終わってみれば強さを際立たせただけ。84年のシンボリルドルフ以来、史上2頭目になる無敗の3冠馬へ向け、文句のない勝ちっぷりで大きな一歩を踏み出した。
「素晴らしい」―。皐月賞最多タイの3勝目を挙げたばかりの武豊が、何度もそう繰り返すしかなかった。感嘆の声がほとばしり、ほおは紅潮している。まずは1冠を奪取したディープインパクトの走りは、過去3走をしのぐ、本物の“衝撃”。G1レースで47度目の栄冠を手にした男でさえ、珍しく興奮を抑え切れなかった。
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第65回皐月賞 |
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1着 |
ディープインパクト |
武豊 |
1.59.2 |
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2着 |
シックスセンス |
四位 |
2
1/2 |
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3着 |
アドマイヤジャパン |
横山典 |
1 |
決してスムーズなレースではなかった。発馬直後にいきなりつまずき、左へヨレるスタート。「ノーリーズン(02年の菊花賞で発馬直後落馬)のこともあるし、ドキッとした」と、ユタカに冷や汗をかかせた。後方2番手から競馬を進めることになったが、向こう正面で動き始めると、外々を通って3コーナーでは無理なく中団へ取りついた。
「ゴーサインを出すと前へ行ってくれた。ストップをかけるとガマンもしてくれる」という素直さを発揮。4コーナーではデビュー以来、初めてのムチが1発入り、高性能のジェットエンジンに点火。直線の坂を苦もなく上り切ると、あっという間に先頭へ。17頭のライバルたちに並ぶ時間さえ与えない、異次元のスピード。4戦全勝。無敗の皐月賞馬が誕生した。
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ディープインパクトで皐月賞を制し「まず1冠」と指を立てる武豊=中山競馬場 |
1強ムードに、百戦錬磨のユタカも、いつもと違うプレッシャーと闘っていた。「大きな責任を感じていたのでホッとしています」―。安どの表情を見せたのは、3冠を意識しているからこそだ。その思いに、宙を舞うようなフットワークと爆発的な加速力で応えたディープ。力でねじ伏せた内容に「ファンの皆さんも、ダービー(5月29日・東京)で圧勝するところを見たいと思っているはず」と、早くも2冠奪取を意識する言葉が飛び出した。
レース後。出張馬房へ引き揚げてきたディープは、バケツの水をのみ干すと、カイバをムシャムシャと食べ始めた。1冠を終えても疲れなし。その姿は、早くも2冠目の戦いが待ちきれないかのようだった。(岡 浩司)
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