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NHKマイルカップ
 男馬ナデ斬り!ラインクラフト“変則2冠”達成 2005/05/08・東京競馬場
 
桜花賞馬・ラインクラフト(右)が鮮やかにG1連覇。鞍上の福永もガッツポーズ(左はデアリングハート)=東京競馬場
  ラインクラフトが見事に“変則2冠”を達成した。史上初の桜花賞馬の参戦となったが、オークスをパスして挑んだ福永騎乗のラインクラフトは好位から直線で一気に抜け出し、桜の女王に続き3歳マイルのチャンプにも輝いた。2着も桜花賞3着馬デアリングハートが食い込み、牝馬でワンツー。1番人気ペールギュント以下の男馬をアッサリ斬り捨てた。

 流れるように18騎が連なり、ヒートアップする4コーナー。激しいしのぎ合いの中で、しかしこのベストカップルだけは“例外”だった。抜群の手応えに自信を持つ福永と、従順にゴーサインを待つ桜花賞馬ラインクラフト。ライバルたちのスパートを横目に、強力タッグはひと呼吸もふた呼吸も遅らせてエンジンを点火した。

 僚馬・エイシンヴァイデンの内があくと、一瞬にしてパス。猛然と桜のリベンジを挑むデアリングハートが追いすがるが、さらにクラフトは突き放す。勢いを増したフィニッシュの先には、空前絶後、前代未聞の幕切れが待っていた。桜花賞―マイルC連覇という、21世紀の新・2冠制覇。美しいシルエットを持つ極上の桜のヒロインが、牡馬を寄せつけない圧勝劇で新時代の扉をこじ開けた。

▼ 第10回NHKマイルカップ
1着  ラインクラフト
福永
1.33.6
  2着 デアリングハート
後藤
1 3/4
  3着 アイルラヴァゲイン
横山典
クビ

 逃げ馬の出遅れに先行勢のけん制が加わり、ペースは緩やか。瞬時に事態を察知した鞍上は、即座に作戦を変更した。「馬場の内が若干、荒れていたから、本当は外を通りたいと思っていたんです。ただ、ペースが遅くなる場合を想定して、この形も考えていましたからね」。インコースにこだわった、鮮やかなV。「毎日乗っている馬。どの手応えでどれぐらい伸びるか、分かっています。バテるとは思いませんでした」と、ジャストタイミングのゴーサインに胸を張った。

G1連覇に元気一杯にいななくラインクラフト

 オークスをパスして、マイルの舞台を選択。英断を決めた瀬戸口師も、最高の答えに満面の笑みを浮かべる。「前例がないことでしたが、描いたとおりにいきましたからね。うれしいですよ。女の子にしては度胸があります」と、世代No.1のマイルクイーンに賛辞を贈った。

 今後は北海道のノーザンファームに放牧。夏場を充電に充て、秋は秋華賞へ。「機会があればまた、男馬とね」と、トレーナーは笑う。実りの秋、さらにスケールアップして女王は戻ってくる。(藤村和彦)

ラインクラフト…牝3歳。父エンドスウィープ、母マストビーラヴド(母の父サンデーサイレンス)。馬主・大沢繁昌氏。生産者・早来 ノーザンファーム。戦績・6戦5勝。重賞・04年ファンタジーS、05年フィリーズレビュー、桜花賞。総収得賞金・319、386、000円。瀬戸口勉調教師、福永祐一騎手ともに初勝利。

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