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直線で力強く伸びてG1・2勝目を挙げたスイープトウショウ(左)=阪神競馬場 |
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単勝1・9倍と圧倒的支持を集めたタップダンスシチーは直線で失速。大きなどよめきが起こる中、ゴール前で鮮やかに差し切ったスイープトウショウが制した。牝馬の勝利は昭和41年以来39年ぶり2頭目の快挙で、2ケタ人気馬の勝利は初めてのこと。2着に同じ4歳馬のハーツクライが入り、2番人気のゼンノロブロイが3着と波乱のグランプリになった。
道中は弓を引くように脚をため、直線で矢を解き放つかのごとく末脚爆発―。スイープトウショウが仁川の晴れ舞台で安田記念2着の雪辱を果たした。能力を信頼し、持ち味を最大限に生かした会心のレース運びに、池添は「展開が向いたわけではない。力で勝ったレース」とパートナーをたたえる。
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第46回宝塚記念 |
1着 |
スイープトウショウ |
池添 |
2.11.5 |
2着 |
ハーツクライ |
横山典 |
クビ |
3着 |
ゼンノロブロイ |
デザーモ |
1/4 |
昨年の秋華賞で念願のG1初制覇を果たしたとはいえ、気難しい気性のせいで苦労も多かった。馬場入りやゲート入りを嫌がり、出遅れは当たり前。「今日は馬場入りやゲートの嫌がるしぐさを最小限に抑えることができた。日々の攻め馬をうまくやってくれているおかげ」とスタッフの懸命な努力にジョッキーも感謝を忘れていない。
上手にゲートを出ることができ、横にゼンノロブロイを見るいい位置で運ぶことができたのが勝因につながった。「タップが動いたのも見ていたけど、直線まで我慢しました。届いてくれると思っていましたから」。彼女を信頼してエスコートしたVだ。
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スイープトウショウのあん上で池添はこん身のガッツポーズ=阪神競馬場 |
苦労を重ねたからだろう。鶴留師からも笑顔がこぼれる。「強かった。まだ4歳の春だからもう少し強くなると思う。秋は牝馬同士か牡馬相手か…。いずれにしても幅広い距離が使えるからね」。オールマイティーな牝馬だけに、頭を悩ます選択となるだろう。今後は4、5日様子を見てから小松温泉牧場へ放牧の予定だ。
ファン投票の選出ではなく、単勝11番人気と周囲の評価は低かった。ターフビジョンに映る宝塚記念のVTRをジッと見つめ、理想通りに運べたことに満足げな表情を浮かべる。先頭でゴールを迎えた時、“何とスイープトウショウ!”の場内放送が耳に入る。「失礼な!」と周囲を笑わせた言葉にすべてが集約されている。ジョッキーは自信を持っていた。彼女を信頼していたからこそ、栄冠をつかめたのだ。(井上達也)
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