スプリンターズステークス |
ウィットネス 世界最強最速だ | 2005/10/2・中山競馬場 | ||||||||||||||||||||||||
558キロの巨体を揺るがして、サイレントウィットネスが怒とうの突進だ。残り150メートル。香港では余裕のあまり抜かれることすらなかった右ムチが褐色の肌に何度も放たれた。
「素晴らしいよ。自分の競馬ができれば負けないんだ」。コーツィーの心の底からの笑顔だった。馬を止めると首筋にキス。そしてムチでたたいたことをわびたという。愛息のダニエル君を抱きかかえると、今度はほおをすり寄せた。
不安が大きかったからこそ、喜びは深い。枠順は希望よりずっと外の(13)番、1日朝の調教で放馬のアクシデントもあり自身も右腕から流血した。「大丈夫なのか…」。当日朝、それを打ち消すようにターフを1人歩いた。これも不安視された直線の坂を見上げ「距離の長かった安田記念で東京の坂をこなしたんだ」と勇気を振り絞った。 その思いに馬は応えた。道中は3番手の外を楽々追走。陣営がフルオートマチックという評する強さと精神力が理想の走りを体現した。コーツィーの頭脳プレーも見逃せない。ゴール前百メートルにあったタイヤ跡で物見しないよう、ムチを使って集中力を持続させた。 千四百メートル以下は18戦無敗。偉大な記録にクルーズ師は「千六百メートルを走らせたのは人のミスだった。適距離を使い続けていれば20連勝だってできただろう」とうなずいた。それを証明すべく今後は短距離に的を絞る。香港スプリントTR(11月20日)から香港スプリント(12月11日・いずれも千メートル、シャティン)へ。そして来秋、精英大師はまた中山のターフにやってくるはずだ。(森本公久)
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