菊花賞 |
日本の至宝だ ディープ無敗の3冠 |
2005/10/23・京都競馬場 | ||||||||||||||||||||||||
しびれるような感動と興奮だった。人智を超えて存在するディープインパクトが、矢のような末脚で栄光のゴールを突き抜けた。身動きできないほどに詰め掛けた13万人を超える観衆は、どよめき、スタンドを揺らした。7戦7勝、史上2頭目の無敗3冠馬誕生だ。
単勝は元返しの1・0倍。お守り代わりに買った人もいるだろう。大きな期待に応えた。 「落とせないレースだった。3冠は騎手として誇れること。自慢できること」。武豊は馬上で3本の指を高々と掲げた。 3冠伝説最終章は、思わぬ好スタートから始まった。1周目の坂越え。行きたがる面を見せ、いつもより前の位置で運ぶと、ラチ沿いの7番手でやっと折り合った。向正面を過ぎ、2度目の坂越えを乗り切ると、残り550メートルを合図にユタカがGOサイン。 先行するアドマイヤジャパンを捕まえられるのか。杞憂(きゆう)だった。「また飛んでくれましたね」とユタカ。これまでにないほどの必死のムチに応えた上がりは33秒3と、いつもの衝撃波だ。ゴール100メートル手前で捕らえると、並ぶ間もなく差し切った。
歴代3冠馬の中でも最軽量の444キロ。2002年セレクトセールでは、小柄なこともあってか、上から12番目となる購買価格(7000万円)だった。しかし、その体には光り輝く不屈の魂が宿っていた。 栄光と3冠ボーナス1億円もつかんだディープには次なる戦いが待つ。金子オーナーは「様子を見てからだけど、年内に使いたい。2つ(JCか有馬記念)ぐらいのどれかと思っている」と明かした。その先は世界。「来年、チャンスがあれば挑戦したい。ただ、これまでも経験したが、色んなリスクがある。リスクなしに挑戦させることができればですね」。世代最強馬から日本最強馬、世界最強馬へ。ディープは競馬界だけでなく日本スポーツ界が誇る至宝となった。
(井上達也) |
|||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||
|